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2010年08月22日

されど愛しき日々

されど愛しき日々 朝寝坊 昼間は女房 夜は猫 貴女の狂態が 瞼を焦がして 月明かり 暴かれた肌 盃に 私は奏でた 貴女の音符 黒髪は 貴女の為にのばしたの その一途さが 指に絡んで マンゴーの 味付けパンで塗り付けた 君は私が作った御菓子 全部みせて 全部聴かせて 哭いてみて 征服された女の器 甘い酒 ねだる猫の目 玉虫に 潤んでいたのは 瞳と秘蜜 愛してる 何度も何度も繰り返す 僕の声は壊れたデッキ 君に痣 青紫に 噛みついた 僕は月夜のアオイケダモノ 優しさで くるんだような 独り占め 足枷の名はピンクのテディキュア ライチ酒にオレンジ割りもいいわよと 見つめていたのは小さな黒猫 指先に 貴女の感触が 絡み付き 動けないまま 風の吹く夜

投稿者 つるぎ れい : 14:53 | コメント (0) | トラックバック

双六ゲーム

双六ゲーム 人生ゲームのサイコロは 気まぐれ気分屋の裏表 一進一退が一心一体 一石二鳥の好都合 三歩進んで二歩下がる 罰ゲーム 仏の顔も三度まで 出た目 出た目 デタラメ人生 私はあなたにはに抱かれて 蝶になる? いや丁半出揃いました 姉御肌 野球賭博に猪鹿鳥の言いなりに 金は天下の回りもの 一時休憩が一時求刑 網走刑務所脱獄不可能 叶 姉妹がやってきて 金と色気で貴方を飼い殺し サンPースの楽園で、 今度こそはのゴールイン サイコロに踊らされても デタラメに できない 酒と女と男と涙 飲みすぎたのは 貴方のせいよ 弱い女の強がりを 抱き締める為に 歌うのは 男と女のラブゲーム ふたりの行く先はぁ〜ホテルぅ〜♪ そこで、 女はスタートして 男はゴールし終わらせた

投稿者 つるぎ れい : 06:04 | コメント (0) | トラックバック

2010年08月21日

晩夏を逝く

晩夏を逝く 名も知らぬ街の 商店街の小料理屋の階段に 仰向けの飛べない蝉 一匹 頼る身ないらしく もがく足に 人差し指を絡ませたのは 多分 私の気紛れ お節介と寂しさの狭間 蝉は指に絡み付き 強く指を刺して みつからな蜜のかわりに 強く強く指を噛む 路地裏に樹はない ましてお前 最期の力強さ 人間に反旗を翻す もう啼けないお前を コンクリートの 樹にみまごう黒塗りの 看板に見捨てた私を その玉虫色の瞳が閉じるまで 恨んで私の逝く人生に 来年 偽物の森で会おう できれば 命がけの恋の仕方など 教えてくれれば 私は 人差し指分 救われるだろう なぁ、お前 蝉時雨の啼く森で 一緒に泣こうか 叫ぼうか

投稿者 つるぎ れい : 02:50 | コメント (0) | トラックバック

2010年08月19日

おばすてやま

おばすてやま となりのおばちゃんが姨捨山に捨てられてしもうたんやって。 そういえば夜中に実娘と婿養子に虐待受けて叫びよったもんなぁ。 それにあそこのおじさんんももうアカンやろ。 脳梗塞で金ばかり使う厄介者やって。 全く怖い世の中になったもんやなぁ。 食卓でしみじみと健康の有り難さを 囃し立てる父母たちの他人事は 母の膝関節の激痛と 父の手遅れの肝炎を笑っていた 昔 熱を出せば 苺がほしいと泣いた娘に なんとかして苺を真冬に手に入れてきた母 難病とあらば祈祷まで頼んだ父 独りで何でも出来るようになった娘を 鏡が映したのは 荒れ狂う逆髪ボサボサに 髭を生やした山姥が 姨捨山の入場料金を風呂に入る前に銭勘定していた とは知らない両親 慈悲喜捨の四無量心の「捨」が流行過の時代 姨捨山は 今日も満員御礼 姨捨山で 今日もコロリ

投稿者 つるぎ れい : 05:03 | コメント (0) | トラックバック

2010年08月10日

月のアリス

「月のアリス」 喪服のアリスは歌う 君だけの黒レースの下に隠した レクイエム (チェシャ猫は夜遊びのし過ぎでハートのクィーンにギロチン刑) アリスは探す 時間ばかりを気にするウサギ 追いかけて ナイフで滅多刺し (これで時間を気にせずに楽に笑って) 硝子がアリスを写し出すと 喪服のアリスは透明に写る 金髪は白銀に肌は陶磁器に (鏡は嫌いよ!嘘ばかり!だから魔女が好むのよ) 月のアリスはワガママで 星のアリスを探してる (一緒に読もうよ、マザーグース、貴女の為に鮮血を一滴残らず飲み干すわ) 貴女の為の舞踏会 今夜もまた、地上に時計仕掛けのウサギたち 夜遊び上手なウサギたち ハートの女王のいいなりに チェシャ猫は野良猫のうめき声 生死のゲームを 満更に 可笑しすぎて笑うアリスは 地上をみては 大笑い 私はここよと 大笑い 泣いて見ていたのは 星のアリス 私はここよと 夜を終わらせる (ねぇ、私たち同じ血でできてるわ) 星のアリスの中に月のアリス ひとり救えば ひとり死ぬ 天使のかんばせに ご注意を

投稿者 つるぎ れい : 02:48 | コメント (0) | トラックバック

手帳

手帳 その方は通勤電車で 同時刻にいつも 乗り合わせる男性でした メモ帳をお借りできますか と言われたのですが 生憎メモ帳は持ちあわせていませんでした 全く知らない方でもないし いつも会えるのだからと 仕方なく 私は手帳をお貸ししました さっき買ったばかりです まだ白紙です これをあなたにお貸ししますから 今度会うときお返しください と 言ったのに あなたは手帳の一番始めのページを キスマークだらけにして 汚してしまった 間のページは私の裸像画の散乱 最終ページに あなたの捺印   私は栞をはさんで 「謹呈 私の全て」 と 書いた

投稿者 つるぎ れい : 02:31 | コメント (0) | トラックバック

赤い部屋

赤い部屋 微睡むことさえ赦されない 赤い電灯の下で 君の舌を引きづりだし 僕は口腔から僕を入れる 開かれた四肢は朱に染まり 君の中の僕が脈打つ キャミソールドレスから 爪先から 唇から 肌から はだけられ 晒された全てから 鼓動が脈打ち 君はピアノの鍵盤の響きに合わせて 流動体の赤血球を泳ぐ 蛇の館に一人 囲まれたカナリアは 泣き顔は見せず歌うだけ 湿ったのは這わせた指先ではなく 遠い雨の日の赤紫のアイリスの芯 誘ったのは君 暴きだしたのは僕 二人が赦していたのは 欺瞞と虚飾の愛の調べ だから火を点けないで 薄闇の天井に ポツリ酸素を請う 赤い電球の色彩のままで 独りぼっちの 暮れない夜の 過ちの朱印 文字のない部屋 空っぽの鳥籠 安らかな黒い柩 赤い孤独が滲む部屋

投稿者 つるぎ れい : 02:29 | コメント (0) | トラックバック

2010年08月02日

傷口から媚薬

傷口から媚薬 躊躇い傷 隠していた 汚れた包帯をひんむいて いっそうのこと 傷口に煙草の火を 押し付けて 本当の哀しみの痛さと 熱を教えて欲しい 今夜のバーの サックスの音色は 胸に滲むから 煙を吹き掛けて 曇らせた バーテンダーは機械仕掛けの昔のあなた タイムスリップして ストリップした私の胸元に テキーラを流し込んで これが今夜の代金引換だよと にやつきながら 一緒に踊って欲しい あなたのリズムで 私は踊る くねる 歪み喘ぐ 喪失する楽園から 覚醒した朝 腕枕の固さの代賞に ひとこと 「女」 と呼んで欲しい 私は、あなたのの鋭い声と 目線が好きで あなたの胸に口紅で 赤い蝶を描く 汚したシーツ 泳ぎ着かれて果てた 野良犬たち 叱るように愛して 石榴を割って 突き上げて 傷口から始まるロマンス 約束の海 潮の薫りが満ちる部屋

投稿者 つるぎ れい : 08:35 | コメント (0) | トラックバック

灯す

灯す 月が空にひとつぽつんとしかない嫉妬に 青い火ひとつ 潮が渦を巻くくらいの感情の高浪に 赤い火ひとつ 四葉のクローバーを見つけても 三葉にしてしまう天の邪鬼に 緑の火ひとつ 生きているのは 何処かに産み捨てた人いる十字架に 金の火ひとつ 誰しもそれぞれが背負う 街並みの灯りと路地裏の陰 歩いてゆく 歩いてゆく ひとりにひとつづつ 呪い ひとりにひとつづつ 故郷 泣いてしまえ スマートなスーツも ブランドのストッキングも脱ぎ散らして ひとりに一箱つづつ 分け与えられた マッチの火を 今夜だけ点けながら マッチ箱が 空になるまで コトバを交わす

投稿者 つるぎ れい : 00:10 | コメント (0) | トラックバック

2010年08月01日

惜春

惜春 シーツの海に住み着いた赤い蝶が 羽化したサナギを嘲笑い 自由に飛んでいく頃 海辺で泣いていたのは 溺れた人魚 帰れないお伽噺に 還りたい アスファルトにアカイハナ が咲くと 潮風の匂いが異国の涙を 誘うだろう アカイハナに赤い蝶 潮騒には裸脚 同じゆらめきの果てに 楽園と廃園の鍵は 差し込まれて 血を流しながら闊歩する女の 渦を巻く激しさに染まる街 たまゆらの音色に委ねた ピアノの旋律のさざ波 ゆれる ゆれる ゆすられる 楽園は近々廃園に 戻ることを 知るだろう

投稿者 つるぎ れい : 03:35 | コメント (0) | トラックバック

監禁

監禁 誘っても 拒む少女の 夏のドア 開け放ったまま 消える足跡 うたいだし 「ここにおいでよ」 の優しさが いつの間にか 身を裂く稲妻 夕立にうたれて 二人滑らせる 汗と蜜と甘い舌 屋敷には 黒い部屋に 君は明日 手錠をされて 啼いて悦ぶ 叫んでも すがってみても 僕はまだ 赦さないよ 赦さないよ 君の汗 君の涙を吸った 部屋 君はまたくる 嵐の夜に 呼んでるよ 君の味見を知る畳 自ら曝せ 珠露の肌 自ずから 君が抱かれた その屋敷 私は名付けた 君の鳥籠

投稿者 つるぎ れい : 03:30 | コメント (0) | トラックバック

瑠璃色の彼方に

瑠璃色の彼方に 瑠璃色の彼方に 僕が覗きこんだ世界は モノクロに覆われて 大地は眠りにつこうと 終演の幕を下ろし始めた 飛び出した頭の高さだけ ぶきっちょな僕は シナリオにない演出を 西の空に描きながら 見果てぬ夢物語を 水彩色鉛筆を使って 涙で滲ませた

投稿者 つるぎ れい : 03:24 | コメント (0) | トラックバック

クロスロード

クロスロード 頬に涙を流し 缶ビール二杯じゃ酔えない 恋にこだわり続けました 骨になってゆく 僕らの想い出は美しいまま 明日の廃品回収のゴミ袋に 捨てられます 貴女にはしたいことが 塵のようにつもり 僕はやりたいことを シュレッダーにはかけれない 色褪せた明日は 透明な未来に続くのでしょうか 光射す窓辺 白いカーテンの朝の熱風 朝顔柄の紺の浴衣に お水をこくりと飲み干す 貴女の喉越しに 僕は何味でしがみついているのですか きっちり髪を切ったはずなのに 「貴女の為に生きたい」 と そんな黒髪の子供が駄駄をこねた言葉を 撫でながら また 未来像に缶ビール二杯で 酔える夢を 貴女の頭のつむじ風が 教えてくれそうです 今度のクロスロードで お互い独り歩きをしていたなら さよならのない 一本道に二人の影をおとしてみませんか 決して冷めない 缶ビール二杯で 酔える 恋と夢と 語り継がれるような お伽噺を

投稿者 つるぎ れい : 03:19 | コメント (0) | トラックバック

アカイナミダ

アカイナミダ 虚ろな目 濡れた指しか欲しがらない お前を正気に狂わせたくて 足の爪 紅に染め上げ 去る貴女 僕の心もお願い赤に 探してる 君の涙の処方箋 薬局に 愛は売ってなくて 哀しくてやりきれないのに笑う癖 治らないまま付き合う貴女 泣いてみて 泣いて見せてよ強がらず 裸のままで泣こう僕たち いいこだね ホントにいいこ 私の子 いいこでいるから 僕を抱いてよ 独り泣く お前の影に手を伸ばし 抱きすくめたい 刺さった棘ごと

投稿者 つるぎ れい : 03:16 | コメント (0) | トラックバック

晩夏と晩歌

晩夏と挽歌 診断書 狂い死にを並べられ 「手帳」に文字を 殺 殺 殺 と ヨレヨレの布鞄にしがみつく 私の生と赤い御守り 夏の歌 詠えぬままに瞼閉じ 午後二時に来る 凍える魔夏 証をね 遺すの証 遺すから 最後の仕事 血塗られた詩画集 さようなら 私もうじき書けなくなるの 詩も絵も歌も 生命線も ありがとう って言いたい人 たくさんで 涙の記憶 忘却の海へ 空高く 夏 何気無い顔をして 命一つを 彼岸に運ぶ 今ならば 詠えるのかな 私にも 透き通る骨 魚の挽歌

投稿者 つるぎ れい : 03:14 | コメント (0) | トラックバック

調べなさい

調べなさい 貴方が初めて私に手渡したのは 赤い花でした 私が最後に手渡したのは 青い花でした もし貴方が 雛罌粟畑で 赤薔薇を一本捧げてくれていたなら 夜には月花美人が咲いたでしょう 貴方は溝に私との時を沈めて 違う花にも赤い花を 添えて量り売りをしたのてす あぁ だから私はこの夜の果てまで行って 採ってきたのです 青い森の青い花(バラ) 私も調べます 貴方が私にくれた赤い花の代償金 生産地とルーツ かかった印税と重さ だから貴方も 調べなさい 青薔薇の秘密 今年二回もブルームーンがあった理由(わけ) そして貴方は 知るのです 私が貴方に 青い花(バラ)を 渡さなければならなかった 無数の痛みたちを

投稿者 つるぎ れい : 03:11 | コメント (0) | トラックバック

七夕と恋

七夕と恋 天の川 涙で溢す 嘘一つ 織姫や 失恋二つ 織り成して より多く 愛した罰の 天の川 流しても 沈む笹舟 泥の船 願のない 私を笑え 短冊よ 哀しみを 運べ笹舟 銀河まで 笹の葉に 金銀揺れる 恋心 世の恋を 全て叶えて 七夕夜

投稿者 つるぎ れい : 03:07 | コメント (0) | トラックバック

千年の樹影

千年の樹影 千年の樹影 祠に眠る千年皇女 逃れ 逃れて荒御霊 道連れにした偽比女と共に 哀しみを夏の影に宿して この社に埋葬された 社の神は男神 比女の眠りを誘い 荒神の腕に抱かれ 魂は静寂の星になる 古の御霊鎮めに 千年杉を植え 古刹に濡れた 石板の赤い名に瞼閉じては 私は 思い出ごと 一枚の絵に すべての歴史を 閉じ込めた

投稿者 つるぎ れい : 03:03 | コメント (0) | トラックバック

描く

描く たくさんの色を秘め キャンバスは賑わう 桃 卒業式の門出に咲いていた桜並木 黄 ヘルメットと夜行タスキの自転車通学 赤 火遊びのような青春に   一級品のディオールを唇に纏う 白 リスカをしたら包帯でぐるぐる巻き 紫 神様は紫雲たなびく彼方におわします 緑 横たわった蓮花畑のややらかさ  青 見上げた空は五月晴れ 七色 恋をすれば虹がかかる なのに怒鳴り声を聞くたびに 色たちは混乱して キャンバスは真っ黒 キャンバスの色合いは時を経て 怒鳴り声を聞くたびに 分裂を繰り返し できあがった絵に タイトルは 「私」

投稿者 つるぎ れい : 02:56 | コメント (0) | トラックバック

閉ざされたアトリエ

「閉ざされたアトリエ」 愛に名を付けてくれと せがむ君 うれしさという名のおさなき子 儚さよ 泪よ時よ愛しさよ 刹那であれ 永遠であれ 雷鳴が去りゆく蚊帳に横たわる 薔薇色の呪縛は 雨夜の月に 君の顔 君の残り香君の味 瞼の奥に閉ざされたアトリエ

投稿者 つるぎ れい : 02:52 | コメント (0) | トラックバック