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2010年03月30日

爆弾発言の下に

爆弾発言の下で 根っこ 桜の木の下には死体が埋まっているんだよ… 爆弾発言をした文学者は 知っていたんでしょうか 昔 日本に 桜の下に死体が埋まっていた歴史を

投稿者 つるぎ れい : 07:47 | コメント (0) | トラックバック

恋人たちが一方通行の標識の下で 笑い合うべンチ 斜めの窓際で老人は最後の作品を 綴り始めた 恋人たちの躁病と鬱病への陶酔はなりやまず 老人の遺書は尊厳死に値する 友人の声は巧みな技で好意的 その反面 本性は果たし状 わからないの? 薄笑いを浮かべる年増の女の日記は 私を終焉の真っ暗森へ誘う 傾いた家屋は崩壊を続けながら 瓦礫たちが身にのしかかり 鈍い残響が鼓膜を打ち破る 助けて! いたずらに発した私の爆声に 見知った女が一人 私の首を絞めながら 「信じるってどうすることなの?」 私の後ろの私に問いただす その頃両親の危篤のメールは 確実に着信履歴に残っていて 穏やかな神の形見みたいな アメージンググレースの音楽が 訃報を告げていた ねぇ、今、何時?

投稿者 つるぎ れい : 07:42 | コメント (0) | トラックバック

血を流す

血を流す 男は汗をかく 女は血を流す それは化石にならない伝統 私の内にある「女」という血脈が 一人の強い「男」を受け入れるまで 血を流す 私は夢想する 三畳あれば十分の原っぱが二人の世界 あなたの引力が私の原子核中を破る時 小さくあげる悲鳴を合図に 教会の鐘は世界に響き 祝福の証が 口から温かく溶けだし 赤く紅く咲く 夜空の流星が私の頬を伝う頃 あなたの放つベクトルの強さたちは 宇宙の芯に焼かれ燃え尽き やがて「一人」が 豊かな土壌に眠り落ち 私の中に 一本の名もない花を芽吹かせるだろう 今は来るべき甘い痛みと引き換えに 冷たく光る銀板にキチンとパッケージされた 褐色の楕円形の粒たち 手渡された瞬間 金切り声をあげた人々に 運命ごと連れ去れて行く 白い担架の上の女 うめき声と蒼白い手が 毛布から痙攣してはみ出す 彼女を追いかけ続ける緋色の滴 点滅しはじめた 手術中の赤いランプも 血を流す

投稿者 つるぎ れい : 07:36 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月28日

雛罌粟心中

「雛罌粟心中」 家を捨ててきたと言う 雛罌粟が咲き誇る赤い心で 死にたいと言う 蒼白い唇は 言葉を噛み砕いたように 真っ青なままで ならば殺してあげる 私の美学で 私のやり方で 爪先まで咲かせて 散らしてから 止めを刺しましょう 寂しいは寒いに似てるでしょうから 雛罌粟風呂へ行きましょう 赤く咲いても 芥子の花 毒入り風呂で横たわる 貴女は何も知らない 白痴のマリア 手首に紅芥子の花 指先から身体中を 赤く染め 綺麗ね と笑う白痴のマリア 私の瞳に一枚のモナリザ 切り取ったフレームに追い付けなくて 瞳を逸らせないまま 動けない 人は あからさまな悪意と 精錬な美の前に息が止まる 貴女は知らないだろうけど 毒風呂から剥き出しの 貴女をひざまづかせて カンパリを無理やり口付けて差し込んだのは 貴女を拘束して 神に見せない為にだけ 力なく従順に開かれる唇から 火のような液体が溢れだし デコルテを伝う鮮血は 炎となって秘所に堕ちて 雫は身体を焦がす 一人はアオイケモノになり 姫は蛇の舌で啜り泣き カンパリとカルパッチョ チーズに挟んだピンクローズと雛罌粟 こんなに美味しいものは 最初で最期ね 私たちは小指だけを 絡ませて赤い夢をみる ねぇ、明日此のまま死んでたら それはそれで幸せね でも運悪く生きてたら もう一度 貴女の心音の高鳴りを 聴かせてください 貴女は生きて活きて 雛罌粟畑を後にヒールを響かせ 帰ってゆく でも確かに 弱い貴女は死んだのだ 雛罌粟風呂の中で 魂を奪われた私とともに 遥かなる赤い記憶 雛罌粟心中

投稿者 つるぎ れい : 01:07 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月26日

松ちゃん

松ちゃん 松ちゃん 昔な この井戸に嵌まって 死んだ子供がおるんよ だから 儂はな ここで眠る松ちゃんの為に 盛り塩と菊を祥月命日に 供えるんや そういってたお祖母ちゃんも 八年前に亡くなった 私たち家族は この井戸の水を飲み この井戸の水で風呂を沸かす 見えない家族が もう一人くらい 身体に棲んでいる

投稿者 つるぎ れい : 20:14 | コメント (1) | トラックバック

サヨナラ・ドクター

サヨナラ・ドクター HEY ドクター どれくらいの罪に どれくらいの涙が似合うの HEY ドクター どれくらい金を積めば どれくらいの痛みを塞げるの HEY ドクター 退屈と憂いを買って頂戴 一秒後もあの子を愛せる薬を頂戴 物足りない言葉を饒舌にして頂戴 足りない頭で考えた I LOVE YOU 指折り数えた デートの日は きっと地球最後のアダムとイブね 林檎をかじったら離れられないの 忘れられたらどんなに楽 覚えていたら溺れちゃう 夜は病みつき 身体にお手つき 万有引力が二人を離さない HEY ドクター アンタの薬でラリっているの 際限無く想像が膨らんで あの子の中に入りたくて 届かない涙が一粒 流れて 堕ちた HEY ドクター 真実のスタート地点を教えて頂戴 信じ続けたゴールまで 導いて頂戴 サヨナラ ドクター 今の憂いを 花束に変える呪文は あの子がいつも唱えてくれるから バイバイ ドクター バイバイ 私の 可愛いお医者様

投稿者 つるぎ れい : 20:09 | コメント (0) | トラックバック

真昼の月

真昼の月 春琳の間をくぐり抜けて 見上げた空に真昼の月 風がトタンを激しくノックして 私を覚醒させる 道程から見上げた 真昼の月は 昔の私 直ぐに黄砂に掻き消されて 月は陰を色濃く残したまま 仄かな痛みに震えて 静かに目を閉ざす 月陰の闇に微睡む 春琳と隙間風 すら 涙を孕んで 恋に泣く

投稿者 つるぎ れい : 20:06 | コメント (0) | トラックバック

虚無の詩

虚無の詩 胸の空洞に私の魂の死体 命の灯火を奪われても 暗闇で泣いてはダメ 廃人はポツリとも呟けない 孵りたい 新しい春の川辺のオタマジャクシでいいから 誰かに掬われたい 救われたい そんな幻すら 泡沫の夢 振りきれない情熱は もう 枕の下でガビになった アパシーの意味を今更辞書で 調べる必要性は無駄なだけ 虚無が巨夢に膨らんで どんなに瞳から雨を 降らせても 晴れた空は大欠伸

投稿者 つるぎ れい : 20:03 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月21日

春の涙

春の涙 「春の涙」 桜が泣く 花びらを散らしながら あなたの才能を狭めたと 僕は桜を恨まない この手で掬えるのは 君の思い この手で救えるのは 君の未来 だから 文字はいらない 伝える言葉が壊れても 君のそばにいられるなら それはなんて 美しい春の涙

投稿者 つるぎ れい : 07:32 | コメント (0) | トラックバック

雪の花

雪の花 「雪の花」 貴方は瞳の虚空を映して 移ろいゆく景色に 粉雪の行方を占う 花は二つ 咲いたら黙る 咲いたら声が枯れる 貴方の温かさに 救われながら 花たちは 駆け込み乗車のような恋を 乗車券も持たずに 楽しむつもりだ 全く かまくらの温かさも知らないくせに 春に向かって 花二つ 泣きながらヒソヒソ話

投稿者 つるぎ れい : 07:22 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月18日

輝き

輝き 輝き 私が貴方に与えた 唯一無二の 名に恥じることなく 唯、そのままに 有終の美を 世界に知らしめる 光たらんことを 祈る 貴方は 沈まずの太陽 私は それに魅せられた 夕暮れの向日葵 貴方は天を焦がし 私は 頭(こうべ)を垂れ 土に涙を落とす 夏の夢は覚めず また 夏の恋も然り 輝きて 輝きて 唯 輝きて

投稿者 つるぎ れい : 00:44 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月17日

雪の華     (恋歌)

雪の華 雪の華 舞い降りて ティアラみたいな雪の華 薫りは君だ そっとくちづけ   (乱太郎)   降り積もる温もりの夜に身を委ね 絡み合う恋 ひっそりと咲く    (月夜見) 咲ききって 激しく咲いて揺れる茎 時の雫に 溺れ流れる    (乱太郎) 白き地を 紅に染めて咲く華は 吹雪を喚んで 鮮やかに舞う   (月夜見) 風誘い 白鳥が舞う月明かり 話すことも歌うこともない    (乱太郎) 風強く 髪は乱れて芯は濡れ 挿した花にも痺れはとれず     (月夜見) 雪の華 枯れることなく凛として 恋の畔で君を見つめる      (乱太郎) 雪の華 見つめ合う視線は同じ 触れることなく褪めることなく                                                             (月夜見) ※「月夜見」は、宵野 倭の昔のハンドルネームです。 あしからず・・・。

投稿者 つるぎ れい : 10:08 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月13日

赤く咲く声

赤く咲く声 手を伸ばせばその声に 爪を伸ばせば届きそう 捻れるように 掴まえて 破壊と再生を 装って 踊る神の足の下 無限の闇から降り立つ有限 指先のその先の月光花 たどり着ければ 聞こえるでしょう 相対の世界のうめき声 蔦の這う 古城に取り残された生け贄が 垂れ流す愛の 掠れ声 ペンを挿し込めれば あなたとの下肢が 擦れた音を立てて 忍び込み 私の声が 赤く咲く 産声で忠誠 縛められた舌から 伸びる赤い 蛇の反逆 黎明を待たずに唇から 絞首刑で口封じ 嘘には罰を 手には刃を 私に牙を あなたに報いを

投稿者 つるぎ れい : 00:19 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月05日

ソコがない

ソコがない 勘違いで恋をして 勘違で花が咲く 勘違いは居心地よくて 勘違いはiモード 勘違いが嘲笑い 勘違いが嘘をつく 勘違いに思い込み 重いゴミは 運べない 重いいゴミには灰が似合う 思い込みには秋が似合う 薄紅色の腐ったゴミは 早めに処分 廃棄処分 じゃないと泣くのは私 ソコもないのに 嘘もまことしやかに信じる自分 勘違いにはソコがない 其処が何処かもしらぬまま 浮かれる私を 笑ってるのは舞台裏

投稿者 つるぎ れい : 19:34 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月04日

花宵道中

花宵道中 夜の宴 舞うよ 花弁 桜は満開 されど 青紫の痣の悲しみは 風花に染められ 春告鳥の声を後ろに 春は未だ来たらず 虚構をばかりを 指で触れれば あなたの情熱が涙を零す 春とうからじ その呼び声は今宵の雨に打たれ 凍てつく芯に杭を刺し 滑る筆が静寂の帳に 渇愛から慈愛へ変貌する 私は画布の蝶の羽ばたきに 未来に準え 冬の隙間から延びる採光に 薄紅色のリボンで口を紡ぐ 時立ち行けば 花は橘と飽きは聞く 尋ね歩む狂女の花宵道中 華楊の屏風に泣き笑い 花籠に描かれた華は枯れても闇に詠えば 恋 恋 恋

投稿者 つるぎ れい : 23:28 | コメント (0) | トラックバック

ゆりかご

ゆりかご 私ににさしのべられた手のひらは 真っ直ぐな炎をひた隠しに冬の枝先に結んで 泣きわめく子を起こさぬように ただ その為だけに 今 彼は手のひらに釘を打つ 彼は 子供が泣かぬように 泣かぬようにと 静かに温かくゆりかごを 揺すり続けるので 流れる血が静寂を押し拡げ 大地は活火山を失い ぶつかるプレートはなく 宇宙は子守唄にみたされた ただ マグマのような鼓動だけ 泣く子を 眠らし揺らし あやし続ける 彼の手にはまだ釘が刺さったままなのに ずっとずっと 深淵なる夜の淵を揺らし続ける 世界は血と涙に呼応し いつしかそれを 神は 「優しさ」と 名付けた

投稿者 つるぎ れい : 22:48 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月02日

のこすもの

のこすもの 僕が君に遺すもの 変な紙切れの束ひとつ 僕が君に遺すもの インクとちびた色鉛筆 僕が君に遺すもの 苔になる躯 忘れないで 紅いランプの下 浮かび上がる輪郭 白い肌 月夜に交わした くちづけの甘さ 菫の香に誘われた愛撫 やけくそになった 叱責同士の喧嘩 携帯から誘惑した 吐息と従順な柔らかい声 掠れた呼び名 墜ちた花弁 濡れた身体 零れた緋蜜 溶けた夜 激しい波の高鳴りに 啼いたナイチンゲールよ 籠は思い出を閉じ込めたまま錆びたのだ 電車が来るから僕は逝く 朝のこない電車に乗るのだ 僕が君に遺すもの 僕のわがまま 消える足跡 止まった時計 来ない春 君が僕に残すもの 精一杯の真っ直ぐな 僕だけ見つめ続けた瞳と涙 最期に僕が残した者は 愛した君 君自身

投稿者 つるぎ れい : 05:30 | コメント (0) | トラックバック