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2012年02月26日

革命

革命


嘆きと苦しみの手紙を柩に入れて記憶の河に流す
忘却の彼方で
永久に歌い続ける小鳥は
空の孤独に愛されながら流星となる

愛は残酷な仕打ち
孤独こそ永遠の味方
誰にも奪われず
美しく妖しく咲く薔薇の棘

理解されない棘
それこそがもうひとりの私を護る武器

手紙が褪せて燃やされてゆくように
小鳥が囀りながら消えて逝くように
誰にもかかわらず
誰からも抹殺されてゆく
私の存在価値

大地から
世界に向かって燃え上がる
哀しみの茨の弓矢を解き放つ

時をすり抜け
最期の女王の胸を射抜いた痛みが
ショパンのピアノの旋律と共に
激しく鼓動を打ち鳴らし群集は踊り出す

アントワネットのように
ギロチン台で
愛し合いましょう

絶望と新生の淵の間から
甘く笑っては
舌を出すために

孤独が恐怖より
退屈な一生だったと
言わんばかりに

投稿者 つるぎ れい : 21:29 | コメント (0) | トラックバック

蛍光灯

蛍光灯


明るさ四百ワット
お喋り好きな私

でもね

真後ろに
できる長い陰は
明るすぎて
見えないの

明るい私
笑顔の私

そこには
しわくちゃな
泣き顔や皺も
ひかりに消されて
つるんと剥けては
私ごと
蒸発してゆく

投稿者 つるぎ れい : 21:06 | コメント (0) | トラックバック

捨てたはずなのに・・・

捨てたはずなのに


ひとことに昔の恋が騒ぎ出すまだ好きなんだまだ好きなんだ


ねむらないよるを偲ばせたあなたのよこに知り合いの彼


適当にあしらう筈があしらわれ宙ぶらりんに逆さに吊られ


水槽に捨てたはずの沈殿物が透明に輝く彼女と彼氏


思い出が美化されてゆく二十五時夜について語らう二人

投稿者 つるぎ れい : 21:03 | コメント (0) | トラックバック

2012年02月17日

櫻狂(ハナクルヒ}

櫻狂(ハナクルヒ)


櫻(ハナ)に喚ばれたんだ、と少年(アナタ)は云った

(一)

春は宵櫻(バナ)
漆黒の薄衣纏し少年は
夜々に微熱を身に帯びて
春の目覚めを恐れては
右手に短刀 黒袈裟羽織り
まほろばの櫻(ハナ)に春を見る
櫻(ハナ)よ 華よ 心あらば
我が身の卑しき早春の
性(サガ)の時を御身に封じ給え
されど我が身も男子(オノコ)故
今 一度(ひとたび)の憐憫を


(二)

否 我は老い櫻(バナ)
もはや華の季節(とき)は過ぎました
妖しき言の葉薄紅の紅に宿して花弁舞う
春を忘却に沈めた櫻に何のご用意がございましょう
吹く風に抗えば命を冥府に墜ちるでしょう
黄泉路 開かぬうちにお帰りを
人が櫻(ハナ)に狂うなど
ましてや櫻(ハナ)が人に恋うなどと


(三)

春は夜
宵に酔い
月が奏でる魂の旋律
共鳴する二つの影は赤裸々に
深みに墜ちては昇りつめて濡れそぼる
幽妙な舟底は雫に溢れ
注がれる熱に鼓動は嘶き
時空(トキ)を超えて滑り出す
狂い櫻(バナ)と雄の四魂
絡み合い墜ちては突き上げ
奪い奪われ紅櫻
死と再生を繰り返し
櫻(ハナ)は満月
月に咲く


(四)

女の潮は男子(オノコ)の精を巧みに操り
尚 朱く 紅く天に向かう
男子は聖域を犯したその手で
小刀 ひとつ
自らの心の臓を櫻(ハナ)に捧げて 来世の春を誓う


【櫻狂(ハナグルヒ)
   恋し女(ひと)は華と為り
     来世の縁(えにし)を此処に結ばん】

黄泉平坂
禍事の
良しも悪しも
人知れずして
恋と呼ぼうか妖しと云うか


只、 櫻(ハナ)に喚ばれたんだと、少年(アナタ)は云った・・・

投稿者 つるぎ れい : 22:17 | コメント (0) | トラックバック

2012年02月12日

悲しみ

悲しみ


宇宙が瞬きしている間に

地球から一滴の

海が溢れた

投稿者 つるぎ れい : 22:12 | コメント (0) | トラックバック

2012年02月05日

不在の国

不在の国


悲しみに飽きてしまえば面倒な君ごと捨てる愛だの恋だの


どこまでも翻弄された歳月に太陽と月は もう巡らない


幸せな記憶の底に君不在 乾いた砂漠 そこが君の場


困らない 君が消えても変わっても 僕の世界は 無限に広がる

投稿者 つるぎ れい : 07:28 | コメント (0) | トラックバック