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2010年05月31日

桜並木の門をくぐりたがる胸は 薄紅色の血脈が身体から飛び出し 誰かの内で鼓動が響き合う 桜の花びらが散って腐敗していく頃 土足で踏みにじる運動靴は 汚臭を発する 太陽が焦がれる高嶺の花は 異常気性なうえに 当たらない天気予報のように いつも気まぐれ 桜の葉が汚濁にまみれ 排水溝に溜まっている 伸びすぎた前髪と後ろ髪 もっと綺麗に整えたくなった サロンに行く途中のコスモス畑は 色鮮やかで目移りせずにはいられない 桜の木の静かな心音を吹雪がかき消す 雪が続くとまた春を振り返りたくなる 思い出が美化される 海綿状だけ見ていたい 桜の蕾が少しばかり紅色に染まる頃 ぬるくなったこたつから這い出て 来るべき春の扉のドアノブに手をかけたとき 台所の机には 冷めきってのびたしょうゆラーメンと 長持ちしすぎた蜂蜜漬けの梅干しが 残っていたので 泣きながら食べた

投稿者 つるぎ れい : 07:00 | コメント (0) | トラックバック

2010年05月26日

「お前は私が背負う十字架だよ」

おまえは私の十字架だよ」 九十九神が居座る前は 枕草紙に出てくる親王が 我が名字 血筋の正統性は平にして 人が為 先祖代々独りが出家 永平寺にて阿闍離に為れる者もありやなしかと 聞き入りし祖母も また 我が病の願掛け札を枕の下に 弥勒になりし 今 雷雨 吹きすさぶが如くに 父 深き因縁にて 罪悪人中の凡夫に導かれ 誤算の無一物を まことしやかに信心し 有り金を使い果たし 母を怒鳴り 母は私に言葉にて 業をにやす 我 手首にためらい傷はしり 愛を乞うて 池にて入水 されど 天の雨の囁きか 一陣の風の御手に掬われ 我が身は白き部屋にて 隔離されし日もあれど 己が 病は進行し また老いし父母も 手遅れの因縁に 命幾ばくもなく 最後に伝えられし 先祖から母へ伝言板 「お前は私たちが背負う十字架」 也やと

投稿者 つるぎ れい : 09:25 | コメント (0) | トラックバック

2010年05月25日

雷雨のあとで

雷雨のあとで 空が割れて 雷様がおこっていらっしゃる 親父も怒ったので 気が炎に触れた 家をでて稲妻に撃たれる恋を探しに 出たけれど ファミレスの牛の哀しさ 酸性雨に球体が涙 電撃が走り いてもたっても居られず 夕立ちの空を見上げれば ほら 瑠璃色の世界に 虹 瑠璃色の地球に 幸 ライブな生き方に 華

投稿者 つるぎ れい : 20:36 | コメント (0) | トラックバック

雨漏りと青空

雨漏りと青空 しとり しとりと 落ちてくるのは 誰の哀しさ 夕立の激しさを 期待した子は調子狂い 洗濯物が乾かないわと 奥さまは超不機嫌 それでも 静まってゆく雨粒が バケツいっぱいになる頃 筒抜けた青空の形は 焼きたてのメロンパン のような ホカホカの優しさを 私に見せた 男と青空に大切なのは どうも 「優しさ」 らしい

投稿者 つるぎ れい : 10:21 | コメント (0) | トラックバック

「私が花と認めるのは桜だけなの」 そう嬉しそうに語る貴女 「花雲 上弦のの月     人形と為れる私と遊んでよ貴方」 と桜に酔いしれる貴女 「貴方に愛されているから私は自分を愛しく想えるの・・・」 と 真っ直ぐな瞳を向ける貴女 ------そんな貴女を僕は裏切り御都合主義の神の手を取り    貴女を捨てた 貴女は泣きなら僕に 「思い出をありがとう」 と言って微笑んだので 一生僕の中で 美しいまま咲き続けるのだろう 僕は春の雨の中 泣き叫び 貴女の化身である満開の桜の木の下で 罪の重さに跪き 貴女を求めて慟哭し 動けなくなってしまった 願わくは満開の桜よ その根で 僕の血脈を吸い上げ骨を砕き 僕の血をその花弁のごとく 儚く散らしておくれ 雨に濡れたその一片が あの人の薄紅色の唇に 触れるまでに・・・

投稿者 つるぎ れい : 10:18 | コメント (0) | トラックバック

2010年05月24日

サクヤコノハナ・ トワニ

サクヤコノハナ・トワニ 割く闇 桜 傀儡が 紅 夜想に 闇 焦がれ 恋 残した 望 羽音を 波 凪えぎ 泪 灯す悲 友 環に枷 吾 匂う華 庭

投稿者 つるぎ れい : 07:37 | コメント (0) | トラックバック

2010年05月23日

溺愛

溺愛 おんぼろな音がするバイクで ぼろぼろでボローニャに行こう レコーダー連日終夜止まらせず 天気予報はてんであたらずじまい 留守番人はルームでおくつろぎらしい 老い 惚れ 連夜 点描の ルミネを描く

投稿者 つるぎ れい : 22:16 | コメント (0) | トラックバック

 KISS WILL KILL ME 

KISS WILL KILL ME 苦しくて空気を乞う 血が滲み地に落ちる 連れてて疲れ果てるまで 獣が啼く今朝の夢 出てて君でなきゃ私 遊んでる貴女に悪戯を 夜想深く約束破りそう 目指すの名誉のない国へ 天使の翼天使の羽ばたき これはね恋の為せる業 牢屋で寝ろと主は乱れ 紫陽花と紫陽花の微熱に 手には刃掌には孤独

投稿者 つるぎ れい : 22:06 | コメント (0) | トラックバック

2010年05月20日

心象風景/欠けた器

心象風景/欠けた器 みんながみんな口を揃えて いうのです 「死ねよ」 と。 母親は哭きながら お前は私の背負う十字架だといい 父親は金をくすねて出ていきます 弟は無関心なまま明日の仕事の見積書と新妻の機嫌とりに夢中で 私のアイデンティティーは 錆びれた空の彼方の人から 無に還れと欠けた器を 投げつけてきました ひび割れたお椀の中から 私の薄っぺらなイデオロギーが滴り落ちて 砂塵に回帰せよと 形あるものたちが叫びながら笑っています お椀の中から立ち上る悪臭は私の精神で 夢の島にたどり着くまでに 一目 自分の顔を 薄汚れたお椀にに盛り付ければ あとは要済みです あなた方の信仰する神は 沙羅双樹の枝で編み上げた中に 慈愛を注ぎ込み高みへ導くでしょうが スクラップになる私の赤茶けた役立たずの欠けた偏屈さには ゴミ処理場が 私の極楽浄土だと指し示し くすんだ空の海原を映した 器が 私の内でも 空の彼方の人と同じ声で 繰り返し 繰り返し   波紋を投げかけます 「死ねよ」 と。

投稿者 つるぎ れい : 04:55 | コメント (0) | トラックバック

2010年05月17日

近寄りすぎると 重くなる 離れすぎると 消えてゆく 一滴の雫 詩と死の間に 流した涙が 騙し絵のコップに 泣いた顔と 笑った顔の 中間値で 現れるオアシスを 一体誰が責められようか より多くの毒杯に 酔った者が 背負う儚い輝きたちを

投稿者 つるぎ れい : 23:53 | コメント (0) | トラックバック

2010年05月16日

情け知らず

情け知らず 発ち急ぐ想いに身を委ね 荒波に浚われるまま 自己処罰繰り返しても 我 独活(ひとり) 人の情けに刃を向け 抱かれても 独り 愛情遍歴を繰り返す度に 束の間の癒しを求め 時は無残に親しき人の命 刻々と奪う 情けなき我を 罵倒する声 届かず 又 過ち繰返し「女」に なりし日に訃報来しこと 覚悟の上 泣かれても 泣いてみても 歩む 暮れゆくネオン街 夕暮れの薫風冷えて肌恋し 郭公の狡さに格好の悪さ 我独り ホテルの引き出しに 恥を終まえり 蜜指で走り書きしたメモを残して 「情け知らず 世間知らず」 と 文字は惨めに滲めり

投稿者 つるぎ れい : 10:40 | コメント (0) | トラックバック

2010年05月07日

黙殺

黙殺 飲み込んだ電車が 身構える集団の 溜め息を芯から奪う 今日も満室部屋で 円滑に回るシステムに 妥協と愛想笑いが 個別に煙りを立ち上げて ウイルスが口から流れだし 余儀無く迎合する群れ 消毒液の夢 騒音はシャットアウト 兵士は構えた銃の記憶を クリアーにリセットして 泥のように眠れ 手垢だらけの 朝刊がくるまでは

投稿者 つるぎ れい : 01:56 | コメント (0) | トラックバック

あまたの人へ

あまたの人へ 阿僧祇の次の位の数多の星よ 輝き続けよ 薄汚れた街に染まることなく 人工電灯に媚びることなく 数多の未知数を未来に抱えて 歩めよ 叫べよ 吠えて噛みつけ 幾つもの愛想笑い 幾つものシフトカード 幾つもの安い給料明細書 大人の近道も必要事項 覚えておいて損は無し 世渡り上手に街を泳ぐも されど お前は透明な天球議 都会では計り知れない 尺度と高さと潔さ 心して旅にでよ 人の手垢の届かぬその名に相応しく 阿僧祇から一条の光射すがまま その上の高みを進みゆけ そしてお前は知るだろう お前の名に お前の未来に 未知数の夢が 終わらない詩が 春嵐の情熱が 用意されていることを

投稿者 つるぎ れい : 01:53 | コメント (0) | トラックバック

お話し

お話し 今日の絵本は何物語 千夜一夜の恋物語 宇宙飛行したライカ犬の夢 国創りの神様の大望ロマン いいえ いいえ そんな話しはよしましょう 一夜は漆黒の夜露の涙 ライカ犬は宇宙で孤独死 物質文明から逃げ出した男 そんな話しはよしましょう 例えば明日晴れていたなら 海辺に二人足を浸して 白いワンピースから肌を透かせて 異国の桜貝の嬉し泣きを手にとって 泡にならない人魚姫の話しをしましょう もう 眠ってしまった貴女の ゆりかごの中に このおしゃべりな絵本を添えてあげるから 今朝の憂鬱から 昼間の喧騒から 夜の微熱から 清流のせせらぎ 浄化と慈しみの泉にも似た 豊穣に満ちた声を 聞かせては くれませんか ですから どうか お話ししてください 私の知らない私と 逢瀬を繰り返して遊び続ける 貴女の意地悪 貴女の悪戯 私を夢中にさせる 夢物語を一千夜

投稿者 つるぎ れい : 01:50 | コメント (0) | トラックバック