« 2011年01月 | メイン | 2011年03月 »

2011年02月27日

青空から涙

青空から涙


青空を折りたたむような
終い事に追われ

広げた風呂敷も
今となってはたためない

こびり付いた友情を
優柔不断と殴り書き

サヨナラと
一言書いた紙飛行機
青空に向かって
飛ばしてみたら

たちまちの曇り空から
大粒の涙が降ってきた

私が慌てて折り畳んだのは
あなたからの
最後のラブレター
だったのかもしれない

投稿者 つるぎ れい : 22:55 | コメント (0) | トラックバック

2011年02月26日

徒花

徒花


恋しきは 春咲く花ぞ 桜草 我は徒花 捨て置きたまえ

投稿者 つるぎ れい : 00:28 | コメント (0) | トラックバック

未完成の・・・

未完成の・・・


未完成の


私は身体に
金色の蛇を飼っています
嫉妬の流動体が
這いずり回る
未練と栄光だけが
支配する半身

私は
紫の鱗の分だけ
秘密を持ちます

爪先形の秘密たち
肌を締め付け
こびり付き
過去の恋を
絞りだそうとする

屈折し挫折した
絵文字のような
サヨナラの冷血さ

私は表情を隠したまま
唇を閉ざし
誰にも知られぬよう
あなたを
アドレナリンから
追い出そうと足掻きながらも
滲み出る終わった恋に
まだ
涙がでます

私は上手に苦悩する

だから

この想いよ

最期まで

未完成であれ

未完成であれ

投稿者 つるぎ れい : 00:24 | コメント (0) | トラックバック

リリー

リリー


リリー


お互いに惹かれ合う
レース糸でも
こんなにも
まばらなモノたちだらけで
一つになろうとしている

ねぇ
リリー
どうか教えてよ
こんなにも
違えた道を選びながら
あなたは
誰と細くても永い糸を繋げて
多彩な作品を
完成するのだろう

ねぇ
リリー
レース糸もリリーって呼ぶ国があるんだよ

そして
俯く白百合も
リリーと呼ばれる
だから
気付いてしまったんだね

僕たちは
同じ顔で編まれた
同系色を覗き込んでは
きっと
自分だけを
愛していた

奥底に秘めた
絡み合う解れに
目を背けて

君を
愛していた

君だけが
僕の完成品

君しか
愛せなかった

リリー
白百合よりも
たおやかで
繊細な糸のひとよ

投稿者 つるぎ れい : 00:18 | コメント (0) | トラックバック

月華の祈り

月華の祈り

月華の祈り


まだ
薄紅の蕾のまま
あなたの指先の呪文に濡らされて
開いてみたい

女の子から
女という華に
狂い咲く闇夜の怖さ

しんしんと
冴え渡る
月夜に冷気

絡み合う四肢
幾度も 幾度も
甘い血と蜜を請う
あなたへの微熱に
苛まれた私

身体
柔らかな曲線を
くねらせては
その長い指で
肌 薄紅に染め上げられ
動きに合わせて
私 鳴く


どうか
この濡れそぼる華を
卑しいと
そのまま
捨て去らないで
いてください

あなたとなら
一輪挿しの
薔薇色の夢


永久に


朽ちるまで

投稿者 つるぎ れい : 00:12 | コメント (0) | トラックバック

2011年02月08日


人は泣いて生まれてきたのです

この世の光
未来と夢の翼を
信じて


人は泣いて生まれてきたのです

老いてゆく
置き去りにされる
孤独

夢の翼を休めるな
光射す文字を描け

けれど
忘却の能力は
電子辞書から
文字を暗闇に茫滅

生とは
如何に
自由で拘束された人生を
涙で彩る

産声をあげた
その日から

投稿者 つるぎ れい : 00:40 | コメント (0) | トラックバック

2011年02月07日

少年

少年


新聞紙とは
正反対の方向に
飛び出したがる
明日の犯罪者

遠い国で
死んでゆく
豊かな心の子供たち
日本で壊された
濡れて腐った伝達神経
解体された合体ロボット

弱肉強食のナイフを
握らされたまま
踊らされて

未来を
灰色の空と濁った海の狭間に
祈りを詰めて
流した小瓶

異国には
届かないまま笑われて

地上が微かに揺らいだら

いつかの
少年は
明後日の
護衛車の中で

ゆらり

ゆらり

投稿者 つるぎ れい : 03:12 | コメント (0) | トラックバック

恋人の種

恋人の種


空に手が届くくらいに
馬鹿みたいに幸せ

海の底で人形姫に
プロポーズされるくらい
馬鹿みたいに幸せ

君が産み落とす恋人の種
私が産み落とす恋人の卵

目眩がする長いキスをしたあと
那由多の邂逅の向こう側

小さな庭に
淡い光を注いで
君の種を産めますから

僅かな輝きの果て

豊かな信実を育てみてもいいですか

投稿者 つるぎ れい : 03:08 | コメント (0) | トラックバック

爪紅

爪紅


思い出を欺いた朱印は
冷たい指先を恋しがって
月明かりの夜に
主のいない部屋で
紅の泪を
足先に残したまま
愛しさ事
剥がれてゆく

投稿者 つるぎ れい : 03:03 | コメント (0) | トラックバック

赤い部屋

赤い部屋


微睡むことさえ赦されない
赤い電灯の下で
君の舌を引きづりだし
僕は口腔から僕を入れる

開かれた四肢は朱に染まり
君の中の僕が脈打つ

キャミソールドレスから
爪先から
唇から
肌から
はだけられ
晒された全てから
鼓動が脈打ち
君はピアノの鍵盤の響きに合わせて
流動体の赤血球を泳ぐ

蛇の館に一人
囲まれたカナリアは
泣き顔は見せず歌うだけ

湿ったのは這わせた指先ではなく
遠い雨の日の赤紫のアイリスの芯

誘ったのは君
暴きだしたのは僕
二人が赦していたのは
欺瞞と虚飾の愛の調べ

だから火を点けないで
薄闇の天井に
ポツリ酸素を請う
赤い電球の色彩のままで

独りぼっちの
暮れない夜の
過ちの朱印

文字のない部屋
空っぽの鳥籠
安らかな黒い柩
赤い孤独が滲む部屋

投稿者 つるぎ れい : 02:55 | コメント (0) | トラックバック

アトランティス

アトランティス


アトランティス大陸には
化石にならない
私の夢が
沈んでいる

アトランティス大陸には
詩人も歌人も俳人も
知らない言語が
埋まっている

アトランティス大陸は
まほろば郷
探求者も研究者も
調査できない
宝箱

でも
私は知っている
アトランティス大陸は
沈んだの
沈んだっきり
浮かばない

だから
私は
隠したの
アトランティスに
私の夢とか恋とか希望とか

私にしかできない
誰かの事や
あなたの笑顔に
会うために

これから
見つける
もう一つの
アトランティスを

投稿者 つるぎ れい : 02:52 | コメント (0) | トラックバック