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2011年06月10日

分岐点

分岐点


人生はいりませんか
人生はいりませんか
老いた瞳が訴える

人生って何だろう
人生って何だろう
振り向きたがる団塊世代

人生に愛を加えたい
人生に愛を加えたい
必死でキーボードのiを押す三十路女

人生ってしまむらに売ってるの
人生って今 流行ってんの
ショーウィンドーのマネキンのような女子高生

それぞれの胸の振り子は
午前0時が始発点
逆回転する短針の
指さす先は謎かけ問いかけ
質問攻めの終止点

あるいは
道行くダンジョンで
大皿に盛られた過去と未来

秤にかけたら
懐古と倦怠の分岐点

投稿者 つるぎ れい : 20:48 | コメント (0) | トラックバック

2011年06月09日

さよならの君

さよならの君


はじめから 特に意味などない恋を まことしやかに 信じた徒花


足跡をかき消すように 逃げ惑う 二人の間に 芽生えた裏切り


愛してる の言葉の重みを 赤薔薇に 託して逃げる さよならの君


朝露も 濡れない昼に 侵されて 色あせて行く 乾いた涙


手を伸ばし 手を翳してみても 届かない 揺らぐ炎は 幻想のまま


きっと泣く きっと裏切る そんな事 知ってるつもりで 交わした約束


もう一度 知らない顔で 罵って お前も違う男を探せ


恋なんて しない女を 気取るには キャリアと趣味と実力兼ねて


あの人が気になりだしたの あなたとは全く違う 素直な人なの


手を握り 砂辺で歩く足跡を 満潮の波に 遠く消されて

投稿者 つるぎ れい : 15:02 | コメント (0) | トラックバック

2011年06月05日

抱いてみたい

抱いてみたい


何も知らないきみを抱いてみたい
音楽よりも激しい音を奏でる躰
遮断した胸の鼓動
時々寂しげな眼差し
素直になれない強さ
君の全てを暴いてやりたい

何も知らないのは
お互い様だから
人は微熱を重ね
夜に手のひらを握りしめ
独りでないことを
確かめたがる

その夜を二人で越えよう
何も知らなかったその瞳に
一体何が映るのか

光 溢れる未来
重ねた温度から広がる地平線
その海原で君は自由に泳げるだろう


全ては君の手の中に


僕さえも虜にして置いて

何でもも知ってるくせに知らないふりする

薄情なきみごとを抱いてやりたい

(とある、少女に・・・)

投稿者 つるぎ れい : 15:35 | コメント (0) | トラックバック

2011年06月03日

空中庭園

空中庭園


用意したものは
ハルシオンと
カッターナイフと
包帯

壁には壊れた時計
床には硝子の花が咲く

お互いの手首を傷つけ
血の赤さに安堵して眠る夜
幻覚の森で落ち合って
オルゴールの棺に収まり
夜は宮殿を抜け出し
裸足でピアノの鍵盤の上を踊ったよね

君は永遠の乙女
黒いレースのついた喪服で僕を迎え
幼さの残る激しさで僕を射抜く

そのままで居られなかった苛立ちは
伸び始めた手足たち
汗ばむオスの胸板の下で杭を打たれ
僕はオンナという遺伝子組み換えの罰を受けた

男という生き物は
僕の背中に腕を伸ばすと
「コレは邪魔だな。」
と笑いながら翼をもぎ取り
僕に足枷をして繋ぎ止め
夜しか知らない生き物に作り変えた

人殺しにも似た行為を毎夜繰り返し
僕は残酷になった

もう庭園(くに)には帰れない
なのに君がくれた一輪の薔薇が
故郷(ふるさと)を恋しがるので
地獄にいても
晴れた日は空を見上げて涙が出たりする

あの二人で覚えた遊びは封じられずに
思い出が骨を砕く

帰りたい
還りたい
孵りたい

用意した物は
ハルシオンと
カッターナイフと
包帯

今から逝くよ
肉などそぎ落として
白い粉になって

透明だけが支配する
二人だけの
空中庭園(おうこく)へ

投稿者 つるぎ れい : 18:35 | コメント (0) | トラックバック


虹を あなたにあげたいんだ
たくさんの色をして
空に続く橋のようで
きっとふたりで渡れば
夢にたどり着くはず
きみの病気も
あの架け橋の向こう側には
きっとないはず

だから
走って走って
雨がやむまえにって
太陽が沈むまえにって
祈りながら走ったのに

ぼくの手には
転んだ時の泥しか
つかんでいなかった

それなのに
きみは
私が見たかったのは
虹じゃなくて

泥だらけのあなたなの

なんて笑うものだから
ぼくは泣けてしまって
泣けてしまって
西日がさす
病室で

ぼくの顔に
うっすらと
虹ができてしまうんだ

投稿者 つるぎ れい : 11:06 | コメント (0) | トラックバック