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2013年05月30日

のぞき込んだのは

のぞき込んだのは


真っ暗い空に
月の船が
帆をかけて行くよ

  ひかりをあつめて
  なみだをわたるよ

月の船が
夜を越えるよ

  きどうのさきに
  きぼうをのせて

 帆をかけて
  哀しみすらも
   呑み込んだ
     月の船

柔らかに浮かぶ翳り
やみくもに伸ばした微熱

そんなあなたの満ち欠けを
映した地上の月鏡

覗いてごらん

 語らない物語
 胸に沈めた迷宮

とおい日のあしあとを
追いかけながら
泣き出した
あなたが唄う
いつかの哀歌(エレジー)

投稿者 つるぎ れい : 01:58 | コメント (0) | トラックバック

ちゅうせい

ちゅうせい


君は僕に女になれというのか
着物に白い足袋と草履を添えて

君は僕に女を魅せろというのか
胸の重みを感じて
泣けと

君がみた
春画が僕だ
君の詩集の
あ、ふれる
の文字が僕だ

僕を見る君の眼鏡は
赤外線装置付きの
魚眼レンズ

もう
知っているよ
君に裸を
晒して歩いたことも
君が風になって
撫で回した指も

でも
僕は中性
忠誠を誓った人にだけ
僕は女装できるんだ

投稿者 つるぎ れい : 01:55 | コメント (0) | トラックバック

名前

名前


同じ夕暮れをみていても
もう同じようには
見えないのは

目が人に 二つ
あったからだろう

その片目同士に
光と逆光の速度で
墜ちて逝く夕日を
僕たちは
【綺麗だ】という
形容詞で簡単に括って捨てる

笑っていても笑っていない
視線の路地裏の店を
さすらえば

君のお腹の中に
贅沢な珍味たちが
放り込まれていたのを
僕も一緒に
漁っている所が見えた

同じものをみていても
綺麗と綺麗事の
区別のつかないような愛に
名詞をつけるなら

ヨルと闇
くらい、の
覚悟

投稿者 つるぎ れい : 01:50 | コメント (0) | トラックバック

2013年05月10日

悪意の道先案内人

悪意の道先案内人


良く思われたいからの
ひとことが
言われるままに都合よく
放り出されたので
世渡りの処世術を見破った

頭も目も逆さまだったら
月は夜
ひとことに 愛の錬金術を覚えただろうか


 私の文字や言葉が
 鏡に曇るのは
 鏡に裏表があったから
 かもしれないし
 また
 私がもともと
 曇った顔つきだったから
 映ったまでのこと


ひとことで傷ついて
他人事で大火傷
せっかちな詮索好きの前頭葉

ひとことで片付ける
手間要らず
バランス失う後頭葉

アンバランスな距離と溝
温度は棲めなかったと
泣き去った

ひとことの先の
めんどくさいが被害妄想に
ちょっかいだして
目があえば
会うたび毎に

鬼が笑って
ひとこと先の地獄行き

一寸先に詩が笑う

投稿者 つるぎ れい : 20:49 | コメント (0) | トラックバック

【あ、いたい。】

【あ、いたい。】


宇宙の孤独が理由をつけて
詩人や芸術家や思想家に
淋しさについて
夢想させると
男は全て叡智に滅ぶ

宇宙は嘆き
その哀しみを
女に託し
愛しい愚かさを与えると
全ての女は炎になった

怒りは人を殺し
孤独が人を殺し

心はビッグバンを
おこしながら
やがて知恵と
手を結び
初めての軌道を渡る
新星が 宇宙の孤独に
光を差し込む

その輝きが
あなたとわたし
シンパシィする
空のよろこび
海のかなしみ

この惑星の
男と女
愛、痛い、する
心と心

投稿者 つるぎ れい : 20:47 | コメント (0) | トラックバック