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2010年03月30日

血を流す

血を流す 男は汗をかく 女は血を流す それは化石にならない伝統 私の内にある「女」という血脈が 一人の強い「男」を受け入れるまで 血を流す 私は夢想する 三畳あれば十分の原っぱが二人の世界 あなたの引力が私の原子核中を破る時 小さくあげる悲鳴を合図に 教会の鐘は世界に響き 祝福の証が 口から温かく溶けだし 赤く紅く咲く 夜空の流星が私の頬を伝う頃 あなたの放つベクトルの強さたちは 宇宙の芯に焼かれ燃え尽き やがて「一人」が 豊かな土壌に眠り落ち 私の中に 一本の名もない花を芽吹かせるだろう 今は来るべき甘い痛みと引き換えに 冷たく光る銀板にキチンとパッケージされた 褐色の楕円形の粒たち 手渡された瞬間 金切り声をあげた人々に 運命ごと連れ去れて行く 白い担架の上の女 うめき声と蒼白い手が 毛布から痙攣してはみ出す 彼女を追いかけ続ける緋色の滴 点滅しはじめた 手術中の赤いランプも 血を流す

投稿者 つるぎ れい : 2010年03月30日 07:36

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