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2013年08月15日

少年の向日葵

少年の向日葵


焼け野原に
ひと粒 希望を植えた
今度帰ってくるときに
黒い雨を突き抜けて
太陽は咲いているだろうか
どうしても確かめたくて
ぼくのこころを 焦土に植え付けた

おんぼろ小屋や
瓦礫の合間を 潜って
廃屋のがらんどうを 越えて
真っ直ぐに見える
その黄色い希望の花は
真ん中にぎっしりと 黒い種つけては
ぼくの帰りを待っていた

(あぁ、ぼくが夢見たものは
   賑やかな子どもの笑い声と黄色い光)

回り道をしても 見える
太陽を揺るがす夏の花に
ぼくは瓦礫の街をはしゃいで走った
昭和のポケットに うずくまった
タイムカプセルの思い出は
今では
どこでも咲く六十年前の太陽の日差し

夏にニヤケて
照れくさそうに
焦げ焦げ顔で
囁く向日葵は
ぼくにだけ聞こえる声で
「ただただ、生んでくれてありがとう」と 
ひと粒
コトバのような 種を落とした

投稿者 つるぎ れい : 2013年08月15日 19:27

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