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2012年04月02日

見送る

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結婚は人生の墓場。
お母さんはなぁ、お父さんに騙されてんでぇ。仲人のおばさんがどうしてもって言うから、結婚したってん。
それまでお母さんはなぁ、大覚寺で生け花の師範を取り嵯峨流の看板も持っとる。
あんたにも、昔に見せたやろ。
お茶は裏千家一筋。
東芝で働いて、ずっと独身を通すつもりやったのに、お父さんと結婚したばっかりになぁ。
お母さんの体も人生もガタガタや…。


それは母にとって真実なのであろう

けれど
今 私の肩に片手をのせ
もう片手でズボンを掴み
バランスをとらなければ服が着られなくなった母
掴んだ肩にのしかかる
母の手のひらの悲しい重み

あぁ…お母さん

歌はじめ
歌人たちが華やぐあの異郷の地に赴く
安い服を着た背中の曲がった
白髪混じりのおばあちゃん

彼女の見送ったものは
何だったんだろう

私が 
今 見送った あの人は
一体 誰なのだろう


詩と思想4月号入選作品

投稿者 つるぎ れい : 2012年04月02日 23:06

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