2009年10月31日
半端の瞳
半端の瞳
君の一番好きな酒は
マーテルのコルドン・ブルー
ブランデーの中の一級品
なのに
僕にねだるのは 半端物の「桂花陳酒」
ただ甘いだけの安いリキュールを
君が好むのは
僕の瞳(め)の色が
この酒と同じ 色素の薄いシトリン石だからと 笑う
琥珀の鏡に笑顔がうつると
メラニンの少ない僕の瞳(め)は
眩しいものが苦手で
君が綴った掌編小説に目を移し 後ろから君を抱き締めながら
一節を囁いた
君が僕の瞳色 全てを飲み干して
午前3時の夢魔と戯れている頃
無粋な天使が夜会に現れ
「ハリネズミ同志の恋は破滅する」
と
半端な予言を残して 飛び去った
エゴイストの香が充満する部屋
彼女は何も知らない
ただ明日も僕の色を飲み干す夢物語に抱かれているのか 小さく 喘いだ
投稿者 つるぎ れい : 2009年10月31日 13:19
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