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2012年12月04日

冬の隙間

冬の隙間


冬の隙間

スマートには
生きれません
私はいつも
泥だらけの長靴を
履いているからです

偉いことなど分かりません
指先の感覚だけが
頼りです

笑われてなんぼです
けれど
自分の笑顔には
胸を張りたいじゃないですか!

投稿者 つるぎ れい : 12:22 | コメント (0) | トラックバック

ひとつだけ

ひとつだけ


ひとつだけ

赤い花をひとつだけ

身体に隠した赤い花
ひとつだけをプレゼント

あなたのナイフで
花占いの遊びがおわっても
もとには戻らない
女の子の色
ひとつだけ

大切に契られた
私の身体の初めから終わりを
確かめながら
あなたは数える
私の忠誠心

涙を隠して
ひとつだけ

赤く咲く声
夜を裂く

ひとつだけ

投稿者 つるぎ れい : 12:18 | コメント (0) | トラックバック

2012年10月30日

サイコパス

サイコパス


サイコパス

愛してはいけない人に恋してる
身の程を知れと言ってるみたい…


空を串刺しにする
伸びやかに しなやかに
聳え立つ あなたは一つの
強い意志

張り巡らされた
全ての策略も
戦慄のシナリオに変えて
街々を飾るひとつの
突き抜けた電波頭脳

私は
あなたの空を
泳ぐ鱗雲

あなたの青さに
染まって消える
過去に流れて逝く
透明な白

だから
私にも 発信して
これ以上の悲劇はないほどの
喜劇のような終わり方

恋しては消えてゆく
秋の高みから
狂った舞台の
サイコパス


もう
愛せないように
殺された
女が墜ちる
空(から)舞台

投稿者 つるぎ れい : 22:53 | コメント (0) | トラックバック

2012年08月25日

沈まぬ夕日

沈まぬ夕日


沈まぬ夕日


燃えるような
夏の黄昏の向こう側の
グラデーションに
死んで逝く
ぼくらの夏

愛しき人よ
あなたと一緒に見た
あの夏の花火が
今 空に灼かれているよ

「もう
あなたに
会うことはないわ」

夕暮れに
俯いた
あなたの顔
あなたの声

ぼくの西日は
沈まないまま
記憶を焦がして

夜になれない…

投稿者 つるぎ れい : 01:41 | コメント (0) | トラックバック

2012年08月03日

月美の涙

月美の涙


月美の涙


海底に眠る君の身体から透明な茎が
月に向かって伸びてゆくよ

月美
悲しいけれど
お前はそれを見ずに
短い夏を逝く


お前が咲かせた花は
月下美人
儚さに背を向けて
薄明かりの部屋で
小さく悲鳴をあげた花

投稿者 つるぎ れい : 20:17 | コメント (0) | トラックバック

2012年07月04日

オフィーリア

オフィーリア


オフィーリア


オフィーリアよ
お前のその祈りは
誰のためなのか

恋するが故に
狂気を纏い
死して尚
その紅き唇から
なにを語るのか

オフィーリアよ
渦巻く策謀の罠に
堕ちた
儚き夢を渡る少女よ

投稿者 つるぎ れい : 16:46 | コメント (0) | トラックバック

2012年06月08日

黒い箱

黒い箱

黒い箱


長持ちする
飾られた言葉が
優しい配色で
贈られて
私を癒やしては
私の代わりに咲いて
枯れて消えた

せめて
絵にかけば
消えないだろうと
毎日描いて
描き終わった頃

花も枯れて
贈り主も消えた

まるで
始めから予知されたように
黒い箱に
収められていたっけ

私は
水彩画の思い出を引き裂いて
柩に涙を刻む

ラナンキュウスの花束を
勿忘草に替えて
黒い箱に閉じ込めた

投稿者 つるぎ れい : 17:51 | コメント (0) | トラックバック

2012年05月22日

涙の後始末

涙の後始末


涙の後始末

悔しいことも
理不尽な扱いも
みんな溜め込んで
吐き出すことが出来ない

泣いていいよ
話すことは
放すことだからね

でも
鋼鉄の口からは
無言の悲鳴が
響くだけ

投稿者 つるぎ れい : 17:46 | コメント (0) | トラックバック

禁色

禁色


禁色


白いあなたを
私が神仏の前で堕落せたのだ
私の中に潜む
楽園を追い出された
蛇が
あなたを絞り上げた

零れたあなたの
白い羽の残骸が
私の身体を汚すように浄める

あなたに授けた
獣が片時も
業火の中で
吼える

あの時
強引に
塞いだのは
まっすぐに泣く
あなたの
「愛しています」

きっと
それを聴くと
私は泣いてしまう
自分が
女であると気づいてしまう

あなたを
飼い殺しにして
置き去りにする
自分に

あぁ、
雷がなる
神鳴りが聞こえる
二人の声を燃やすように

投稿者 つるぎ れい : 17:42 | コメント (0) | トラックバック

2012年05月12日

抹茶とプリン

抹茶とプリン


抹茶とプリン


少し渋めだけど
憎めない甘さで
ふるえつづける
プリンを
少しずつ優しい
新緑の言葉で
染め上げるから
私たち
ちょいどいい
柔らかさにくるまれて
午後のスプーンに
救われてしまう

温かい眼差しに
溶け出した汗は
滑り出した恋の味わい

投稿者 つるぎ れい : 16:49 | コメント (0) | トラックバック

2012年04月25日

自然流通

自然流通


自然流通


深淵なる夜の
向こう側の空に
数多の風と雲を
数え上げ
ただ流れゆくまま
生きてゆく

在りし日の
あるがままに

あるがままの
自分のかたちで

投稿者 つるぎ れい : 22:26 | コメント (0) | トラックバック

2012年04月02日

無題

無題


無題


私は焼けた砂場ではなく
夜中のブランコです

私は冷えたポカリスエットではなく
なかなか落ちない点滴です

父は冬の岩場ではなく
昔 井戸に置いてあった洗濯板です

母は向日葵ではなく
夕暮れに沈む太陽です

町の人は言います
「ああは、なりたくないもんだね…」

町の人は歩きます
私たち家族には
全然追いつけないスピードで

笑いながら

喋りながら

だから
カーテンを閉めます
耳栓をして目隠しして
家族仲良く暮らせるように
墓を掘りました

その墓碑名に刻んだのは
関係者以外立ち入り禁止

投稿者 つるぎ れい : 23:16 | コメント (0) | トラックバック

2012年03月09日

サクラサク

サクラサク


サクラサク


あなたは
新しい恋に夢中で
私は
新手の告白に戸惑って
お互いの胸に
サクラ咲く

あんなに私たち
仲が良かったのに
あんなに私たち
憎み合ったのに

徒歩では
到底行けない距離から
離れ離れになった
今頃
冬を越えた蕾たち
発芽はピンクに
電話の向こう側から
サクラサク

投稿者 つるぎ れい : 10:03 | コメント (0) | トラックバック

2012年01月23日

一月

一月


一月
Photo. R


冬から零れた
ちいさな春が
笑いながら
福寿草にひかりを
宿す

おめでとう

明けない夜はないのだと
囁くように
告げながら
二月に夜明け前を
手渡して
黎明の薫りを
開け放つ

投稿者 つるぎ れい : 05:10 | コメント (0) | トラックバック

散華

散華


散華
華やかに
朱に染まる
花びらは
色はくれない
紅をさす

いつまでも
散らない緑を
恨んでみても
越えられないのが
華の涙か
散華の女

投稿者 つるぎ れい : 05:04 | コメント (0) | トラックバック

2012年01月11日


夢


夢にもみたことのない
あなたが
夢に現れて
夢にみたような事を
言うので
びっくりして
目覚てしまった

ごめんなさい
あなたは
午前5時の
瞼の奥に
閉じこめられたまま
私と一緒に
夢の途中

投稿者 つるぎ れい : 22:07 | コメント (0) | トラックバック

2012年01月04日

迎春

迎春


迎春


【迎春】


あなたを
迎入れたら

お節料理に
春を詰め込んで

折り鶴が運ぶ
御神酒で飛ぼう

いよいよあなたは
宵の酔い口

お布団しいたら
布団の中の鶴と亀は
紅白歌合戦

除夜の鐘が響くまで

わたしとあなたは
煩悩の百八つ目を
数えあげ

浄心
初夢
一富士二鷹三茄子

投稿者 つるぎ れい : 12:16 | コメント (0) | トラックバック

2011年12月15日

戸惑い

戸惑い


戸惑い


蒼白い氷雨針
冷めた囲い人の焔
ながされ たゆたう
小さな情熱
唇のような赤などいらないから
小さな棘をひとつだけください
あの人の胸に
小さく刺さるだけの
揺らめきを

投稿者 つるぎ れい : 00:29 | コメント (0) | トラックバック

2011年11月11日

チロルチョコ

チロルチョコ


チロルチョコ


淋しいと言う前に
あ〜ん あ〜ん

大きくあけた口に
チロルチョコ

小さな甘さはね
淋しくならない
魔法の口封じ

投稿者 つるぎ れい : 21:42 | コメント (0) | トラックバック

2011年11月10日

木枯らしに泣く

木枯らしに泣く


木枯らしに泣く


風に絡まる
褪せた新聞紙
転がるメイプルの葉

靴底から命の寝息
底知れぬ湖の
深い蒼

木枯らしに泣く
紅葉を宿した瞳から
七色の哀しみ
一粒

投稿者 つるぎ れい : 21:46 | コメント (0) | トラックバック

あなたに

あなたに


あなたに


あなたに
あげれるものがあるとしたら
散りゆく薔薇

風の流れをゆるめて
まだ紅い華のまま
頑な信念のように
あなたの氷山の中で
色も形もそのままに
凍えるように
閉じ込めて
胸の芯で
咲かせてください

もう
あげられるものなど
とうに無くした庭に
一輪の薔薇が
ぼとりと土に鎮む前に

投稿者 つるぎ れい : 21:41 | コメント (0) | トラックバック

2011年10月12日

たそがれる

たそがれる


たそがれる


経ち ゆかば

秋  きたり

経ち ゆかば

飽き きたり

投稿者 つるぎ れい : 23:58 | コメント (0) | トラックバック

2011年09月23日

ネーサンが行く

ネーサンが行く


ネーサンが行く


あたいのカラダで
あんたが触れてないとこなんて
ないんだからね

知ってるくせに
相変わらずの
指使い

変態!
変態!!
変態!!!

そんなに
攻められちゃ

慣れた
あたいだって

あたいだって…


イクゥ〜〜!

投稿者 つるぎ れい : 21:23 | コメント (0) | トラックバック

2011年08月24日

散華の夏

散華の夏


散華の夏


零れた白い夏が
月に還る

晩夏の名を呼びながら
新たな季節に
淫らに燃えて
白肌は紗の薫りを
遺して
西国浄土の夢を
珠にして
夜を数える

泥濘から残されたのは
夏の名残りの
裸の芯

蓮(はちす)
十六方位に
光を宿していながらも
花弁は
珠玉の涙を浮かべた
薄幸の女

投稿者 つるぎ れい : 20:26 | コメント (0) | トラックバック

2011年08月16日

セクサロイド

セクサロイド


セクサロイド


浴室に幽閉された
モノクロの私は
未完成でありながら
あなたに飼われるのを
待っている

誘うように哀願する

【色が…欲しい】

乾いた喉を裂いて
溢れ出したコトバ

堪え切れぬ涙を
身体中に浴び

まだ
独り
濡れたままで…

投稿者 つるぎ れい : 01:18 | コメント (1) | トラックバック

2011年07月29日

胸には花を

胸には花を


胸には花を


蒼白いか細い腕には
赤黒い注射の跡

車椅子のおじいさんは
動かなくなった足と歴史を語り

忙殺されるサラリーマンは
上司の嫌味に
絡まれ目がまわる

今日もどこかの産婦人科で
胎児がひとり
ゆっくり流れた


人の心には
いつも美しい花が咲いていると
信じたいから

涙で霞んでも
消えないコサージュを
あなたの胸に

投稿者 つるぎ れい : 01:04 | コメント (0) | トラックバック

2011年05月26日

壊れたベンチ


壊れたベンチ


あなたの笑顔で
赤ワインと白ワインをあけた
公園の片隅ベンチ

もう
あなたの笑い声
聞けなくなって
久しく
ここであなたを待っていたのは
私だけじゃなくて
独り 涙に
押しつぶされた
壊れたベンチ

俯く顔をあげて
空を見上げると
あなたの声が降ってきて
雨が頬を伝う

もうあの椿は咲いてはいないのに
赤い思い出が詰まって
壊れたベンチ

みっともない私の
夢と優しさに騙されて
壊れたベンチ

投稿者 つるぎ れい : 02:53 | コメント (0) | トラックバック

2011年03月23日

陰気くさい

陰気くさい


陰気くさい


昔から猫は陰の気を好む

なぁ
いつもはそんなに懐かないくせに
俺の腹の上で寝るほど

今の俺って陰気くさい…?

メスネコめ
悔しいけど

良く

分かってんじゃん

投稿者 つるぎ れい : 18:02 | コメント (0) | トラックバック

2011年02月26日

未完成の・・・

未完成の・・・


未完成の


私は身体に
金色の蛇を飼っています
嫉妬の流動体が
這いずり回る
未練と栄光だけが
支配する半身

私は
紫の鱗の分だけ
秘密を持ちます

爪先形の秘密たち
肌を締め付け
こびり付き
過去の恋を
絞りだそうとする

屈折し挫折した
絵文字のような
サヨナラの冷血さ

私は表情を隠したまま
唇を閉ざし
誰にも知られぬよう
あなたを
アドレナリンから
追い出そうと足掻きながらも
滲み出る終わった恋に
まだ
涙がでます

私は上手に苦悩する

だから

この想いよ

最期まで

未完成であれ

未完成であれ

投稿者 つるぎ れい : 00:24 | コメント (0) | トラックバック

リリー

リリー


リリー


お互いに惹かれ合う
レース糸でも
こんなにも
まばらなモノたちだらけで
一つになろうとしている

ねぇ
リリー
どうか教えてよ
こんなにも
違えた道を選びながら
あなたは
誰と細くても永い糸を繋げて
多彩な作品を
完成するのだろう

ねぇ
リリー
レース糸もリリーって呼ぶ国があるんだよ

そして
俯く白百合も
リリーと呼ばれる
だから
気付いてしまったんだね

僕たちは
同じ顔で編まれた
同系色を覗き込んでは
きっと
自分だけを
愛していた

奥底に秘めた
絡み合う解れに
目を背けて

君を
愛していた

君だけが
僕の完成品

君しか
愛せなかった

リリー
白百合よりも
たおやかで
繊細な糸のひとよ

投稿者 つるぎ れい : 00:18 | コメント (0) | トラックバック

月華の祈り

月華の祈り

月華の祈り


まだ
薄紅の蕾のまま
あなたの指先の呪文に濡らされて
開いてみたい

女の子から
女という華に
狂い咲く闇夜の怖さ

しんしんと
冴え渡る
月夜に冷気

絡み合う四肢
幾度も 幾度も
甘い血と蜜を請う
あなたへの微熱に
苛まれた私

身体
柔らかな曲線を
くねらせては
その長い指で
肌 薄紅に染め上げられ
動きに合わせて
私 鳴く


どうか
この濡れそぼる華を
卑しいと
そのまま
捨て去らないで
いてください

あなたとなら
一輪挿しの
薔薇色の夢


永久に


朽ちるまで

投稿者 つるぎ れい : 00:12 | コメント (0) | トラックバック

2011年01月13日

デメテル

デメテル デメテル 髪長く麗しき女(ひと) 豊饒の女神 冥界に愛娘 攫われ墜ちて 冬きたらするは 哀しみのデメテル 愛娘 柘榴の実一つを 喰はざらましかば 我はこの世に 冬を創らましや 彷徨える荒野に二人 娘と共に 風に吹かる 我が元を去りし 娘は還らず しからば娘の 春帰りきたらむを アイリス畑にて 我は待たなむ

投稿者 つるぎ れい : 00:26 | コメント (0) | トラックバック

2010年10月26日

花の降る午後

花の降る午後 花の降る午後 <strong>君の為にしつらえた 此処は楽園 天然極彩の夢の柩 紅は君の爪先に オレンジはぬばたまの髪飾り 白いパステルで 君の肌を塗り替え ショッキングピンクの恋をする 鮮やかな薫に酔いどれ 君は永久の眠りに 犯される ひとひらひとひら舞う花びらに 大輪を歌う花言葉に 僕は【くちづけ】と名付け 甘い毒を君から吸い込む ぬるい真昼 透き通ってゆく 君と共に 天に召される 花の降る午後

投稿者 つるぎ れい : 17:22 | コメント (0) | トラックバック

2010年10月22日

花陰の人へ

花陰の人へ 花陰の人へ 赤い首輪の中に おさまり切れない情熱が 紅黒くはみ出しながら 僕の芯に契約書を描かせる 偏愛の行方に身を任す女 あなたに呪縛の枷を 美しい人よ シャンデリアの下の 飼い猫よ 唇から鳴き声 拘束から吐息 精神的陵辱すら 青い悦楽 ターコイズの 川の流れの真ん中で 僕は贈り物の天然石を つなぎ合わせて 世界に境界線を引く 僕らが選んだ檻の中で 「愛してる」の愛憎劇は 世界を震わせる さぁ 咲き誇れ 偏愛の火花よ 枯れることを知らない 彼岸花のように 激しさに染め濡れた 花陰の人よ

投稿者 つるぎ れい : 20:24 | コメント (0) | トラックバック

2010年10月05日

錯乱

錯乱 錯乱 あなたを 幸せの象徴 のように思ってた 私の 真ん中に幸福な未来 私の 真ん中に満ち足りた世界 あなたの真ん中に 砂上の楼閣 あなたの真ん中に 赤いドライフラワー 描けない夢 届かない声 穏やかな虚構 二人を隔てる透明な膜 触れ合う事さえ 赦されない かつての日常 二人の真ん中に 飾られた 空白の錯乱

投稿者 つるぎ れい : 04:22 | コメント (0) | トラックバック

空 雲行きは やっぱりあやしい 夏の恋は 稲妻のように 私の心を痺れさせたまま 遠い子宮に隠れてしまった 私は 期待の灯火だけ 残して 今日も 独り 暗闇に沈む

投稿者 つるぎ れい : 04:07 | コメント (0) | トラックバック

2010年09月30日

くゆり煙草

くゆり煙草 くゆり煙草 あなたの指先が 私を知ってから 煙草の煙りのように 濃く 薄く 私は踊り吐き出される 身体があなたを知らなければ 早く灰皿で ちびてくたびれる 私を消していって欲しかった 煙草はくゆる 私は貴方の匂いが染みついた 古びたシャツ いつまでも いつまでも くゆり くゆり と 貴方の薫りと指に 挟まれて 踊らされながら 炎は独り涙で消えていった

投稿者 つるぎ れい : 06:42 | コメント (0) | トラックバック

2010年09月26日

青い鳥

青い鳥 青い鳥 夕闇から一条の想いが 青空にチョークで 夢の在処を配達する 昔 アスファルトに落書きした まる さんかく しかく には 足形と無邪気なままの笑い声 置いてけぼりの故郷は 空の蒼さに溶け込んだまま 鉄線が張り巡らされて 帰らず終いになってしまった ちいさな私の青い鳥

投稿者 つるぎ れい : 22:41 | コメント (0) | トラックバック

2010年09月18日

淨円月

淨円月 淨円月 踊り疲れた御霊たち 各々の宴を語り合い 清き月に照らされて 魂の行方に酔う 月 白く 鼓動 鋭く 枝 黒く 来世浄化の メッセージは 柔らかな光降り注ぎ あなた方の元に 安息の月日を 召還し 忘却の岸辺へ 記憶運ぶだろう 鎮魂を謳う青い闇 空には炎の 真白き円月 淨円月 淨円月 踊り疲れた御霊たち 各々の宴を語り合い 清き月に照らされて 魂の行方に酔う 月 白く 鼓動 鋭く 枝 黒く 来世浄化の メッセージは 柔らかき光降り注ぎ あなた方の元に 安息の月日を 召還し 忘却の岸辺へ 今日を運ぶだろう 鎮魂を謳う青い闇 空には炎の 真白き円月

投稿者 つるぎ れい : 20:48 | コメント (0) | トラックバック

錯乱

錯乱 錯乱 あなたを 幸せの象徴 のように思ってた 私の 真ん中に幸福な未来 私の 真ん中に満ち足りた世界 あなたの真ん中に 砂上の楼閣 あなたの真ん中に 赤いドライフラワー 描けない夢 届かない声 穏やかな虚構 二人を隔てる透明な膜 触れ合う事さえ 赦されない かつての日常 二人の真ん中に 飾られた 空白の錯乱

投稿者 つるぎ れい : 20:40 | コメント (0) | トラックバック

2010年09月13日

くれる

くれる くれる写真 うなだれた向日葵のように へそを曲げて点かない街灯 どんなに走っても 追いつけない虹の国 アスファルトの向こう側くらいには 頬を染めて待っているから 落書きのような 曖昧な恋の約束を抱いて 思い出に追いつけないまま 色褪せた 今日が暮れゆく

投稿者 つるぎ れい : 20:39 | コメント (0) | トラックバック

2010年09月12日

終焉の子守歌

終焉の子守歌 終焉の子守歌 夕暮れを 暗黒の腕が掴もうとして 色彩が地平線の彼方から あっかんべえをする 此処までおいで 傲慢と虚飾に満ちた 地球の裏側を裏返せるのは 一枚の瑠璃色の夢 切り取られた シャッターのワガママ こっちへおいで 遠い千夜一夜のの 子守歌を教えてあげるから 今は薄く照らされて 世界の終焉に 恋い焦がれ 泣いたらいい

投稿者 つるぎ れい : 23:44 | コメント (0) | トラックバック

2010年08月01日

千年の樹影

千年の樹影 千年の樹影 祠に眠る千年皇女 逃れ 逃れて荒御霊 道連れにした偽比女と共に 哀しみを夏の影に宿して この社に埋葬された 社の神は男神 比女の眠りを誘い 荒神の腕に抱かれ 魂は静寂の星になる 古の御霊鎮めに 千年杉を植え 古刹に濡れた 石板の赤い名に瞼閉じては 私は 思い出ごと 一枚の絵に すべての歴史を 閉じ込めた

投稿者 つるぎ れい : 03:03 | コメント (0) | トラックバック

2010年04月07日

僕の名は

僕の名は 僕の名は 記号なのかと訪ねられ 黙ったまま あなた方の 夜を見守った 木偶の坊と言われて 突っ立ったまま 季節は過ぎた 寒くないのかと怒られて 寂しいと答えて 酒を注がれた だけどなぜか 熱烈な 阪神タイガースファンには 人気者 冴えない癖に 目立ちたがり屋の 僕の名は 「私」と 呼ばれているらしい

投稿者 つるぎ れい : 12:00 | コメント (0) | トラックバック

春の高さ

春の高さ 春の高さ 空を刺す電柱は 見上げる私に 春告鳥の羽ばたきを 聞けよ 燕の囀りを 英訳せよと 投げ掛ける 蕾 開花し 空 高く 鳥 歌い 私 詩を紡ぐ 光のみ射す 青き空を 串刺しにする 焼けた肌の午後の 春の高さ

投稿者 つるぎ れい : 11:56 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月30日

爆弾発言の下に

爆弾発言の下で 根っこ 桜の木の下には死体が埋まっているんだよ… 爆弾発言をした文学者は 知っていたんでしょうか 昔 日本に 桜の下に死体が埋まっていた歴史を

投稿者 つるぎ れい : 07:47 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月26日

松ちゃん

松ちゃん 松ちゃん 昔な この井戸に嵌まって 死んだ子供がおるんよ だから 儂はな ここで眠る松ちゃんの為に 盛り塩と菊を祥月命日に 供えるんや そういってたお祖母ちゃんも 八年前に亡くなった 私たち家族は この井戸の水を飲み この井戸の水で風呂を沸かす 見えない家族が もう一人くらい 身体に棲んでいる

投稿者 つるぎ れい : 20:14 | コメント (1) | トラックバック

2010年03月21日

春の涙

春の涙 「春の涙」 桜が泣く 花びらを散らしながら あなたの才能を狭めたと 僕は桜を恨まない この手で掬えるのは 君の思い この手で救えるのは 君の未来 だから 文字はいらない 伝える言葉が壊れても 君のそばにいられるなら それはなんて 美しい春の涙

投稿者 つるぎ れい : 07:32 | コメント (0) | トラックバック

雪の花

雪の花 「雪の花」 貴方は瞳の虚空を映して 移ろいゆく景色に 粉雪の行方を占う 花は二つ 咲いたら黙る 咲いたら声が枯れる 貴方の温かさに 救われながら 花たちは 駆け込み乗車のような恋を 乗車券も持たずに 楽しむつもりだ 全く かまくらの温かさも知らないくせに 春に向かって 花二つ 泣きながらヒソヒソ話

投稿者 つるぎ れい : 07:22 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月18日

輝き

輝き 輝き 私が貴方に与えた 唯一無二の 名に恥じることなく 唯、そのままに 有終の美を 世界に知らしめる 光たらんことを 祈る 貴方は 沈まずの太陽 私は それに魅せられた 夕暮れの向日葵 貴方は天を焦がし 私は 頭(こうべ)を垂れ 土に涙を落とす 夏の夢は覚めず また 夏の恋も然り 輝きて 輝きて 唯 輝きて

投稿者 つるぎ れい : 00:44 | コメント (0) | トラックバック

2010年03月17日

雪の華     (恋歌)

雪の華 雪の華 舞い降りて ティアラみたいな雪の華 薫りは君だ そっとくちづけ   (乱太郎)   降り積もる温もりの夜に身を委ね 絡み合う恋 ひっそりと咲く    (月夜見) 咲ききって 激しく咲いて揺れる茎 時の雫に 溺れ流れる    (乱太郎) 白き地を 紅に染めて咲く華は 吹雪を喚んで 鮮やかに舞う   (月夜見) 風誘い 白鳥が舞う月明かり 話すことも歌うこともない    (乱太郎) 風強く 髪は乱れて芯は濡れ 挿した花にも痺れはとれず     (月夜見) 雪の華 枯れることなく凛として 恋の畔で君を見つめる      (乱太郎) 雪の華 見つめ合う視線は同じ 触れることなく褪めることなく                                                             (月夜見) ※「月夜見」は、宵野 倭の昔のハンドルネームです。 あしからず・・・。

投稿者 つるぎ れい : 10:08 | コメント (0) | トラックバック

2010年02月22日

青い闇

青い闇 青い闇 退院できるというのに なぜ月は 南天でぼやけているのか 窮屈な檻の中 眺めた月光は弱く 消灯は間近 退院できるというのに この木々を枝を揺らす 風の騒がしさはどうだ 街灯の灯を 揺さぶる胸騒ぎの雑音が 体を冷やす 退院できるというのに 夜間の救急室は ランプが消えない 一人生まれれば 一人死ぬ 誰かの大きな謀り事が 毎日企てられているのは何故だ 退院できるというのに 光 弱く 影は濃く 鼓動 鋭く 風は 冷やけき 退院できるというのに 私は ずっと 悪魔がクスリと笑って 小刀をぶら下げた 青い絵を 一生懸命 描いてしまう

投稿者 つるぎ れい : 20:26 | コメント (0) | トラックバック

2010年01月09日

行方不明の激情

行方不明の激情 ミロ 千切れたこの腕に 愛欲の勝利を 自らを傷つけて 望んだものを手にする瞬間は   いつも      残酷で         ひどく…                    愉快だ

投稿者 つるぎ れい : 10:27 | コメント (0) | トラックバック

2009年12月06日

未完成

未完成 未完成 玉虫色の瞳 何 映す 欺瞞の世界か 思惑にとらわれた 恋の行方か その瞳すら 狡猾の輝き 蒼き陰は 秘密を含み 鮮やかに 朱に交われば 身を隠す衣 お前の傾いた 価値観の習性は 直らず ただ 嘯く装いで 予知夢を疑い続ける ならば 五感で 映るものの 虚偽を破れ 六感の スピリチュアルなど 捨て置け! 或る女の インスピレーションで 描かれたお前も 作者と同じく また 未完成 魂を 魂を 授ける日まで 今は 楽園を 待て

投稿者 つるぎ れい : 12:03 | コメント (0) | トラックバック

約束だけ

約束だけうず あおいカオスの渦が 二人を呑み込み 流れにおされ 最果て 煙りたち 消え行く魂 混沌の龍泉に 私たちは お互いの 命の表現を続けながら 来世を信じ 哭きながら 言葉に 溺れ 傲り 酔いつぶれ 飲まれ続ける 時もなく 尺度もなく 肉体も 砂塵に消え 想いは溢れる ありきたりな詩 愛する君よ その魂が 「私」と「信」の記号を 知覚していたとしても 未来邂逅は いたずらに ままならず 夢現に 微睡み 揺られ 奈落へ墜ちるだろう かつて詠いし たまゆらの恋は 浮遊を知らず 微笑みて 沈みゆくのみ だから 今は 「在りし日」の 笑顔の 君との 約束だけ

投稿者 つるぎ れい : 10:12 | コメント (0) | トラックバック

2009年10月31日

もよう

もよう もよう これは あのひとの心模様 これは あのひとの人生模様 そして これが私の病名 恋人の声はマゼンダのように鮮やかで 「信じてないけど 愛しているわ」 あの人の瞳は コバルトブルーの彼方の哀しみを見つめていて 「折れた翼では もう飛べないよ」 私は有頂天の狂気の臭うマスタードで 「嘘でも褒めてくれたら 裸で踊ってやる」 赤の虚無と青の哀しみと黄色い狂気は 混りあわせると 真っ黒になるんだぜ 私の未来の先の先 今は鮮やかな人生模様と ひけらかし 餌より頭を撫でて欲しい 捨て犬の気持ちを おくびにも だすな! 何度も言い聞かせながら 狡猾に配色していくコトバの織物 為平さんの配色って サイケデリックですね! ニルバーナの曲が聞こえるようです♪ 何も識らない青年 何も知らない若さ アンタのその 何でも知ってるような無知さが 私は逆に 羨ましい

投稿者 つるぎ れい : 13:22 | コメント (0) | トラックバック

半端の瞳

びん 半端の瞳 君の一番好きな酒は マーテルのコルドン・ブルー ブランデーの中の一級品 なのに 僕にねだるのは 半端物の「桂花陳酒」 ただ甘いだけの安いリキュールを 君が好むのは 僕の瞳(め)の色が この酒と同じ 色素の薄いシトリン石だからと 笑う 琥珀の鏡に笑顔がうつると メラニンの少ない僕の瞳(め)は 眩しいものが苦手で 君が綴った掌編小説に目を移し 後ろから君を抱き締めながら 一節を囁いた 君が僕の瞳色 全てを飲み干して 午前3時の夢魔と戯れている頃 無粋な天使が夜会に現れ 「ハリネズミ同志の恋は破滅する」 と 半端な予言を残して 飛び去った エゴイストの香が充満する部屋 彼女は何も知らない ただ明日も僕の色を飲み干す夢物語に抱かれているのか 小さく 喘いだ

投稿者 つるぎ れい : 13:19 | コメント (0) | トラックバック

2009年10月19日

澄んだ空のかたわらで

澄んだ空のかたわらで >澄んだ空のかたわらで 貴方は夕暮れまえの 澄んだ空のような哀しさに 言葉を連ねて 独房で小さく笑っている 涙のようにあふれる貴方のメロディーに 多くの人が救われていることも知らずに 秋空に影を落とすのびない電柱 本当は どんな時だって大丈夫なんだよ 夕焼けに染められて赤く想いを馳せてもいいんだよ ちゃんと月がかたわらで 貴方の秋空の暮れゆく淋しさを照らしているから 安心して その翼を恥じないで 天上の高さを謳いつづけても 誰も貴方をせめたりしないよ 投稿者 つるぎ れい : 23:13 | コメント (0) | トラックバック

2009年09月18日

彼岸

彼岸 彼岸 何人が この朝方を見れずに 旅だったのだろう 何人が この柵を飛び降りたのだろう 私の 友達ふたりが 手招きする こっちへおいでよ 自殺とは 自由に生きれない 人間の特権だ この窓枠の 向こう側に 彼岸はあるのに 私は 枠と柵の分岐点に立って 道を選べないまま 鳴らない ナースコールを押し続けている

投稿者 つるぎ れい : 03:32 | コメント (0) | トラックバック

病院

病院 病院 できるだけ 楽な世界に 逃げ込んだつもりが ヤマイの重さと 夜勤の辛さに追われた 愛の飢餓者と 背徳者の女の群れ きれいな白い箱の中 開いて見ろよ 輸入品の輸血が溢れて こびりついてどす黒く心を染め上げる 糞尿の臭いと共に食事しながら 今は亡き母を求める 生き延びる事を余儀なくされた 老人のひ弱な叫び 人権という言葉に 哲学すれば 暇人の賜物と忙者が 高笑い チンケな小娘の戯れ言は 帰る道さえ喪失させる 手のひらいっぱいの忘却の薬 眠れ! 眠れ! 言い聞かせなければ いけなかったのは 暗闇の合間を縫って 響くナースステーションでの嘲笑い 「朝まで死んだふりをしなければ!」 だから 美しいものを 描きたい 昨晩の課長ナースが 放った 人権侵害の言葉を 忘れるためにも 自分の心にも世界にも美しい花を咲かせるためにも 上出来とは 決して言えないが 今は これが精一杯 夢想する乙女よ お前の閉じた瞳の奥が 美しいことに 想いを馳せていたら 私は 満足だ

投稿者 つるぎ れい : 03:17 | コメント (0) | トラックバック

2009年09月17日

墓標

墓標墓標 花は二度咲き 一度目は土から芽吹き 二度目は切り取られて 芸者に変わる 紡ぎだす 淡い光の旋律を放ちながら ますます穏やかに たおやかに しなびれて 華の命に幕をおろす アンコールには答えられないくせに 心を癒した春風の色彩の奏で あなたの隣に 小さな紫の墓標を置こう 人の手では表せない あなたがたの優しい笑顔は 二年前のスケッチブックに 生きたまま記されていた 限りない花たちの春眠の墓標

投稿者 つるぎ れい : 17:43 | コメント (0) | トラックバック

2009年09月13日

肖像画

肖像画 薔薇 旅立つ 貴女の為に 何か贈ろうと思って 花屋に行ったら 赤薔薇一本350円もしやがるねん! よって 一番廉価な家にある ピンクローズを 百均の色鉛筆で七色に染めたった どない? あの日の「虹」みたいな花になったやろ 私は貴女の顔も姿も 見たことがないけど これが貴女の肖像画 私が描いたんは 貴女の姿やないで 貴女の心の形と色や! 手土産に 一本だけの特別製を もろてくれ!

投稿者 つるぎ れい : 16:09 | コメント (3) | トラックバック

2009年08月30日

月神の涙

   月神の涙 月神の涙 海底に眠る君の体から透明な茎が 月に向かって伸びてゆくよ 月神(つぐみ) 哀しいけれど お前はそれを見ずに 短い夏を逝く お前が咲かせた花は 月下美人 儚さに背を向けて 薄明かりの部屋で 小さく悲鳴をあげたような花

投稿者 つるぎ れい : 12:52 | コメント (0) | トラックバック

1970年01月01日


空 雲行きは やっぱりあやしい 夏の恋は 稲妻のように 私の心を痺れさせたまま 遠い子宮に隠れてしまった 私は 期待の灯火だけ 残して 今日も 独り 暗闇に沈む

投稿者 つるぎ れい : 09:00 | コメント (0) | トラックバック