2015年11月27日
天秤
何も持たなかったはずなのに 多分荷物は重くて 
何を詰め込んだかわからないのに 大切で 
手放せないまま 逃げるように出てきた都会 
 何をしたかったのか 私の頭の標識は 
真っ白に作り上げた 大きな矢印が看板 
 迷って 転んで キョロキョロした顔を向けて 
 やっとの思いで前を向いたら 舌打ちされる 
守るものは自分、ではなく、 
 自分の正直さ、というものだと 
両腕で抱えてみると 我儘、と、傲慢に 
早変わりする 人の秤 
※
何も持てなかったはずなのに 
往復切符を買ってしまう臆病者 
 (その理由を、聞かないでください。) 
スマートフォンを 握り続ける 
私の当てにならない アクセス先 
 (その場所を、見つけないでください。) 
 街には人がいないのだよと マネキンたちが 
 スマートなスタイルで会話して 私を見下す 
 ポケットの右側にいれた十字架とはぐれて  
 左側のコインに見捨てられた日 
 身体ごとアスファルトの中に飛び込もうとした夕暮れ 
 ふるえるように叱ってくれたのは 
 ルール位置から遠く離れた、壊れた家の 
弱さと優しさに泣くしかできない 私の両親 
投稿者 tukiyomi : 2015年11月27日 22:41
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