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2014年08月19日

ケムリ

ビジネスホテル 八階の
扉を開けたら 目の前に
大きなベッド
綺麗に片付けられた客室
何もかもが 新しく
何もかもが 何食わぬまま 迎えてくれる

けれど 煙草が
煙草の匂いが 消えてない
さっきまで誰かが此処で
煙草をふかしていたのだろう
シングルベッドで独りきり
窓際の川沿いの景色を
今日の私と同じように見ていたのだろうか

煙りの濃さだけ思惑はくゆる

テレビの画面 鏡枠 キャリーケース 冷蔵庫
机の引き出しからは四角いバイブル オーダー表

四角四面なこの部屋で
煙りだけが自由に踊り
私の頭をくすぶり続ける

設えられた枠の中
誰かが煙草と戯れたあと
ケムリのように 消えて逝く

のっぺらな四角い顔した都会に一つ
丸い形の灰皿を
メモのように 私に遺して

投稿者 tukiyomi : 2014年08月19日 14:27

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