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2015年07月23日

使い捨てカメラ

想いを切り刻んで 記憶は泣く
スマートホンもデジタルカメラも 人の目に映らなかった頃
思い出を自販機で買い取った彼女の空は
空白のまま歳月を渡る
数年前傍にいたはずの笑顔は カラカラに干からびて
空へ昇っていった

(そんなにも性急に誰と瞬間を接続させたかったのだろう)

データに残らない【 写るんです】が、
枕の上で仰向けになったまま レンズで西日を追っている

その場かぎりの衝動を はした金で買われながら
文明の利器に 流され、流され、利用され、
簡単に 消耗されてきた女

白内障の眼が捉えているのは
青臭い映像の中の春の陽射し

光が眩しすぎると、陰は濃くなるものだ、
誰にともなく 呟くと
母は自分の世界に 瞼を閉じた

投稿者 tukiyomi : 2015年07月23日 22:42

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