« 巡る水 | メイン | 音の寸景 »

2014年03月12日

風葬

貴方は
飼い慣らされた春が またひとつ
骨を見せて通り過ぎて逝くのだ、と
冬の葬列の隙間から
骸が風化してゆく言い訳たちを 赦す

親しい者たちの名を
彫り込んだ胸を
見せることもなく
風花の舞う季節に
怯えることもなく
名もない風を受け止めてきた

ただ そんな悲しい景色のことを
赤文字で書いてはいけないよ、と
人を焼くような 人を焦がすような
色では書いてはいけないよ、と
青ペンを手渡してくれた時
触れた 貴方の指先

その温度 その体温が
泣いていた

投稿者 tukiyomi : 2014年03月12日 18:53

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
https://www.a-happy.jp/blog/mt-tb.cgi/14045

コメント

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)