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2014年02月12日

不在の子

畑の中に一粒で 埋もれたままの
不在の子
光と水と温度や湿度
縁に触れては 発芽する
父は土を耕して道作り
母は伸びゆく日々を信じては
二人で肥やしを 与えつづける

畑に根付いたその子の色を
誰がどうして 変えられようか
双葉に嘘が絡みつき
茎が打算や嫉妬に呪われて
気付けば文字どおりの蟻地獄
根元【あし】をすくわれ 
虚偽と手を組む 不肖の子

だが
種の理念は揺るがない
実もならないまま 萎れても
不肖の子にある不在の種は
自分に嘘はつけないと
父母の汗の道の上
叫びながら 泣きながら
語り続ける想い道
愛せないまま 愛したい
理由はすべて底にある
知らないままで 走り出す
たった独りで ひとりに向かって

私が死んでも その人が
私の種を口伝てに 配ってくれれば有難い
その人が漏らして落とした道の上
新たな新芽が発芽する

見えない姿 
不在の子
誰の中でも住んでいる
選んだ道の反対側の
未知の上の道の上
愛されないまま 愛されたいと
憎んだの空の向こう側
堪えてふるえて飛び込んで
泣いて眠れる
赦し中に

投稿者 tukiyomi : 2014年02月12日 02:17

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