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2011年01月14日

愛は風化する

愛は風化する 君に何度も「愛している」「必ず幸せにする」 と、言っていたのに 僕は、今日死ぬ 空虚感に襲われた街で 遺言状をばら撒いたら 「チンケな広告なら間に合ってるよ!」とのあざ笑いが 頭上のカラスの糞と一緒に落とされた 聖人が 「地上に不必要な人間などいないのです。」 と、語るその名言こそ不必要 そんな言葉を鵜呑みにしたら だらだらと煩悩の数だけ生きのびてしまうよ 坊主とて女遊びをする時代 気楽にそれを冗談にできるボキャブラリィなど 僕は持ち合わせていなかった 君に 「僕は今日死ぬから。」 というと、君は 「一緒に死にたい。」 という 多分それは予想していた答え 情死に3回失敗した三文物書きみたいにはなりたくなくて 「僕の息の根が止まるのを確認してから、君は死ぬんだよ。」 と、お願いすると 君は美しく笑って小さく頷いた できれば僕の死体が無様であることを祈る 君に死への恐怖が訪れることを 僕への愛が嘘っぱちの空っぽであったことを この猿芝居は一人舞台だったと 弱虫の僕が強がって飛び降りたグランドキャニオンの奈落の底 そこから僕には記憶がない ただ君が、僕の知らない誰かの横で 花のように笑っていてくれたらと思う 遺言状は漫才のネタになるが 僕を、ねぇ、もし僕のことが 君の中で風化するなら 僕の肉体が砂塵になり 君の目に入った時は 「あれ、なぜ、泣いてるのかしら?」 と、彼氏の前で思いっきり笑って見せてくれ 激しい蜜月の形見を弔いに 愛は虚空を彷徨い続け やがては 思い出と共に風化する 

投稿者 つるぎ れい : 2011年01月14日 01:38

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