« パンドラの罠 | メイン | のこすもの »

2010年02月28日

セピア色のビーナス

セピア色のビーナス 誰もいない絵画教室には 色褪せた口づけが置いてある 僕が初めて触れた女(ひと)は 白い石灰の胸をはだけ 放課後の僕を待っていた 二メートル四・三センチの女神に 背伸びしたくちづけは 冷たい肌を晒しながら 僕の唇に火をつけた 君が生きていたら プロポーズしでもしてただろうか ピグマリオン気取りの いつかの少年は 小父さんと呼ばれているのに あなたはきっと綺麗なままで 僕を呼んでいるに違いない 僕の中の少年はあの日背伸びしたまま 初恋という名のアルバムに 揺らめきながら閉じたまま 「大人」になった セピア色のビーナスを 胸に隠したまま 今は違う女神と恋をして 触れ合った やがて二人の間にニンフが生まれ 小さな女神に なぜか あなたの輪郭を鮮やかに思い出すのだ

投稿者 つるぎ れい : 2010年02月28日 21:21

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
https://www.a-happy.jp/blog/mt-tb.cgi/13614

コメント

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)