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2010年02月24日

親愛なる王子様へ

親愛なる王子様へ 入社したての私は紺のジャケットと地味な白のブラウス 黒いタイトスカートしか持ってはいませんでした コピー機の紙詰まりにも似た安い金額明細書の苛立ちは 若さが手助けしてくださったのか 姫と呼ばれ それはそれは可愛がられたものでした 三十路というのは何か因縁を呼ぶのでしょうか 王子様がそろそろやってくるなどと考え出したりするもので メイクも一流 仕事も一流 遊びも一流 笑顔で鞭を振り振り血ィパッパ いつしか女王様と社員は呼びました せんだって昨日四十回目の誕生日を迎えましたところ 魔女と呼ばれるようになりました 皺とシミに少しばかりの白髪さえ隠せるよう 魔法も使えるようになり伸ばすは背筋ばかり この前ヒールのかかとが躓き階段を落ちそうになったところを 救いあげてくださった貴方 白い歯が眩しいイケ面敏腕青年 (見つけた貴方が私の王子様!!) と思いきや 「いい薫りですね、なにを纏われていますか?」 と いうものですから 私 「ええ、カレーシュを・・・。」 と 恥じらい即答致しましたところ 青年社員は腹を抱えてあざ笑い 「加齢臭!やっぱり魔女並みのキャリアになると言うことが違うなぁ〜。」 などとほざきやがるのです。 まあ、なんと無粋な! エルメスのリリーカレシュを事もあろうに加齢臭だなんて 無知も恥もいいところ! とっとと退社致しなさい なんて呪いをかけてしまいました 嗚呼、王子様 待てど暮らせど不便です この街の人混みをかき分けてそろそろ私を攫ってくださいまし でなければ 「屁は出てよし 鳴ってよし そこらの埃もとれてよし」 などと一発かます卒塔婆小町になりそうです あぁ 王子様 白馬の嘶きが遠うございます お慕い続けて早十数年 貴方のために初回限定 幕張メッセを御用意しております まぁ 私としたことがはしたない(笑)     早々 王子様                       般若より

投稿者 つるぎ れい : 2010年02月24日 22:53

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