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2014年05月18日

のび太のくせに

学生時代 倒れてから
私は仲間から のび太になった

のび太は病院で
怒ったり 泣いたり
世渡りがうまくできない悔しさを
詩に書いて 詩集をだした

のび太にも 背伸びする才能があったのか
夢みるような評価をうけた

その頃 ジャイアンたちは
結婚して 子供におわれたり
仕事におわれたりした

のび太は 自慢しなかった

でも ジャイアンたちは
容赦なくいった

のび太のくせに
上手く 逆上がりぐらいは
できるもんだね、って

投稿者 tukiyomi : 04:38 | コメント (0) | トラックバック

宝地図

私のボロ屋に宝物が埋まっていると
青い鳥が言いました
けれど その場所を
掘って出てきたのは
さっきまで
必死に鳴いていたはずの 青い鳥
青い鳥が赤い鳥になって見つかりました

宿主が言いました
青い鳥は赤い印になって
お前に 「居場所」を
作ってあげたかったのさ
赤い鳥はね
青い鳥だった頃からずっと
お前に遺せる宝の場所を教えていたのに
どうやらもう 力尽きて
本当の我が家に 帰ってしまったようだね

世界地図、どんなに大きな世界地図を広げてみても
もう、私の家は見つからない

投稿者 tukiyomi : 04:13 | コメント (0) | トラックバック

2014年05月13日

産土の母

目を開け未来開けと狛犬が口から発する「あ」から「ん」まで

早朝の神楽太鼓が一を打ち旅立つ時ぞと背中を押せり

産土に護られ生きたらこの町の千年杉の大きさは母

投稿者 tukiyomi : 19:42 | コメント (0) | トラックバック

2014年05月06日

月蝕

月の名を知りたいなら 半月の夜、その裏側へ行きな
ただ、月の本名を知って帰ったものは「し」と
半月の文字になってしまうことだけは確かなのさ

誘惑されたいなら 満月の色を知りな
嵐の前の赤い目玉の月に魅入られて
盲目になった人間は 必ず
満月と同じピリオドでおさまるからさ

憧れが欲しいなら 三日月に爪を伸ばしな
届かない独占欲が 爪の先に点ったまま
とどまって いつまでもあんたを焦らすだろう

会いたい人を呼ぶときは 新月に
闇に紛れて 二人で月の袂まで
足を滑らせてしまうから

愛すべき月 
私の名 私の痛み 私の半分 私の横顔
狂った私の裏側を 覆い隠す真夜中の太陽よ
今夜あなたにそのことを 耳打ちするまで
いつまでも 私は私を 侵食する

投稿者 tukiyomi : 09:19 | コメント (0) | トラックバック

2014年05月03日

インナーチャイルド

私が抱きしめるあなたは
母に抱かれることのなかった あなた
あなたが私を抱きしめて泣くのは
私の中に自分を見るから

言葉を 教えてあげてね
今は母に捨てられて世を憎んだ
上目遣いの人形でも

柔らかさを 伝えてあげてね
人肌の温みが 今のあなたにも
伝わっているということ

上目使いの人形に
歩き方を教えてあげてね
ここには道はないよ、と
穴を掘ってしまう前に

      *

育ってゆく インナーチャイルド
陽を浴び喜びに溢れ 水を飲み干し浄化は始まる

けれど
私の中の私が 母と同じ嫌な顔をする
 (トマトを育てたはずなのに、黒いナスに育つなんて
 (やっパリお前も父親似の 裏切り者ね


お母さんの中のにも また インナーチャイルド

投稿者 tukiyomi : 21:00 | コメント (0) | トラックバック

2014年05月02日

逆さまの国

頭は上についているのに
人差し指たちが
私の頭は底辺にあると
珍しそうに つついてきます

その度に 私の口が頭に上り
我慢できずに ゲロを吐いてしまうのです
嫌な臭いは足裏の鼻が嗅ぎつけ
胸のあたりから足が 早歩きをし始める頃
心が 逃げていきました

私が頭から逆走している噂が 前進する度
かぶっていた毛布から 心臓が飛び出したい、と
お腹の耳に 泣きつきました

坂の上の窓から
「私には、みんなが歪んで見えます。」
と、言ったら人差し指で 詰られて 
「歪んでいるのは、君の首だよ。」
と、またしても 突っつかれて
私は首から まっ逆さまに
窓辺から 転げ落ちてしまいました

神さま 私の写真をください

投稿者 tukiyomi : 15:13 | コメント (0) | トラックバック