3月11日の夢(ウォータースケート)

 外回りから会社に戻ってきて、もうこの会社を辞めようと思い、服を脱いで私服に着替え始める。制服を脱いでみると、緑のシャツとお揃いのズボン、さらにその下の肌着は紫色だ。制服を着ていて、気付かなかったけれど、自分がこんなにおしゃれをしていたことに驚く。
 隣のデスクでは、知らない男性社員がやはり黙って、服を着替えている。ぼくとは反対に、彼はこの会社に入社しようとしているらしい。
 海外の状況を調べる資料を探すために、銀座の数寄屋橋近くにある海外調査会の事務所に向かう。雨が降っていて、水たまりがあって、舗道は滑りやすい。ぼくはそれを利用して、スイースイーと革靴をスケートのように滑らせて、スピーディーに進んでいく。適当なところで手すりにつかまっては、また別の方向に直線で滑って行くから、とても安全だ。無事、調査会の事務所につき、総ガラス張りの内部を覗きこむが、急に気後れしてしまう。むしろ旭屋書店に行って、海外の本を気楽に探そうと思い、歩き出す。すると、背後から女性の声で「一色さーん」と呼びかけられた気がして、立ち止まる。振り向くと、海外調査会の隣の事務所で、事務服を着た女性がこちらを向いて口をあけているのが見えるが、見覚えのない女性だ。ぼくの聞き違いだろうと判断して、ぼくは旭屋書店へと歩き出す。

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