5月16日の夢(行き先のないエスカレーター)

 妻に「エスカレーターに乗ると、だんだん互いの距離が離れる」というたとえ話を実際の行為で示そうと、乗らなくてもいい登りのエスカレーターについ乗ってしまう。あとから妻も乗ってくる。ふと前を見て驚く。エスカレーターは上階に通じているのではなく、そこには壁しかない。しかも、上に行くにしたがってエスカレーターの角度はだんだん垂直に近くなる。このままではぼくらは壁に激突する前に、エスカレーターから転落するしかない。
 と思ったところで、エスカレーターは停止した。だが、そのままぼくらは身動きもままならず、エスカレーターから降りられない。少し下のステップにいる妻に「そこからオーイと下にいる人に声をかけられるか」と尋ねる。妻は小さな声で「オーイ」と呼ぶが、それではとても下のホームにいる人には声が届かない。そうだ。ここは駅のホームなのだ。そのとき、たまたまホームを同僚のSさんが通りかかった。ぼくは大声で「Sさーん!」と声をかける。彼女は立ち止まり、ぼくを見て目をばちくりさせる。「あなたは勇気がないから、そんなところに登ったんでしょう」と彼女は冷たく言い放つ。近視のひどい彼女はどうやらぼくを誰かと間違えているようだ。近づいてきた彼女はようやくぼくだと認めたらしく、「あっ、違う、違う」と呟き、ようやくぼくらを助けようという仕草を見せる。

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