妻から原稿をA新聞社に届けるよう頼まれた。ここは東京から遠く離れているので、銀座まで直通で行ける電車はない。乗り継ぎでもいいからとにかく電車の駅を探そうと、雨の街を歩く。前方からチンチン電車が三台横に並んでぼくの方に向かってくるのを避ける。
駅は地下にあって真っ暗だ。とても広くて天井も高い。ボタ山のようなものがいくつもそびえている中を一両だけの電車がやってきた。乗客たちが何本もあるホームを右から左へと移動するので、ぼくもそれについていく。すると前方から一人の男が近づいてきて、「奥様の撮られた写真が一等賞をとられました」と言うので驚く。一刻も早く伝えようとやってきたらしい。