8月5日の夢(賢治の芝居)

 東北の農村にある公民館。大きな古民家である。今日はここで村人たちが宮澤賢治原作のお芝居を年一回上演する日だ。今年はぼくも大道具係の一員として参加している。会場で村のお偉方たちに挨拶してから、準備のために用意された別の家で、ケント紙に大道具の見取り図を描いていく。まだ途中だがうまく描けた。そこへ村人の男がやってきて、「ここの女たちはよく分からない人たちだから、分かりやすく描いてやってな」と言う。

 それなら新たに描き起こすより、昨年の大道具の見取り図を手直しした方がよいだろう。用紙を裏返して一から描き直していくが、紙幅が足りなくなり、ますます分かりにくい下書きになってしまった。おまけに豪雨が叩きつけるように降りだし、せっかくつくった背景の裏山も音を立てて崩れてしまった。公演まであと二時間しかない。こんなざまで上演できるのだろうか。早く搬入のトラックを頼みたいのだが、相手の電話番号さえ分からない。

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