3月31日の夢(先輩の教訓)

 会社で先輩がぼくに教訓を教えてくれた。「困ったときには目をつむれ。けっして開けるな」。彼が荒涼とした炭鉱跡のような場所で道に迷い、空腹で地面に倒れたとき、目をつむると顔のそばにきれいな声で鳴くコオロギがやってきた。その隣に鳴かないもう一匹のコオロギがいるのも分かった。飢えた先輩は思わず手を伸ばして、鳴かないコオロギをつかんでむしゃむしゃと食べ、体力を回復して、危地を脱することができた。もし目を開けていたら、それはコオロギでなくゴキブリだったかもしれない。そしたらゴキブリを食べることはできず、先輩は餓死していただろう。そう言うと、先輩は笑った。
 するとぼくもその荒れ果てた鉱山にいた。地面に穴が開いていて、その穴を降りると、ぼくは会社のオフィスに戻った。
 会社は業績を伸ばしていた。右隣りにはМ社長の席があり、その上の壁には黒板があって、社員一人一人の抱えている仕事の一覧表が掲示してあった。仕事が増えて書ききれなくなったので、今は新しく入った仕事だけが掲示板に表示されている。ぼくの担当する仕事もちゃんと書いてある。ぼくは自分の制作する書籍の名前を表札のような板に書き込む。表札は半透明で、裏から反対側に文字を書いていくので、とても書きづらい。その書籍の名前は「悪い村の兄さん」というのだ。

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