4月30日の夢(空港)

 空港で出発便を待っている。だらだら過ごしているうちに、気がつくと、もう1時間も経ってしまった。とっくにぼくの乗る飛行機は飛び立ったのではないだろうか。
 搭乗口に移動する途中、足首まで水につかった中で、チェロを弾いている中年の男性演奏家がいる。チェロは表側の響板が外され、内臓のような部分が見えている。彼は「ぎりぎりまで練習しなくては」と言う。立って見とれていると、「ここにいる100人は・・・」という声がする。気づくと、ぼくの周りは彼の仲間のオーケストラの人たちでいっぱいだ。ぼくはここでは部外者なのだと感じ、すぐにその場を外す。「あれ? あの人はどこへ行くんだろう?」という声が後ろから聞こえる。
 ぼくは空港の一番奥にある薄暗い搭乗口に、吸い込まれるように入っていく。そこはモンゴル行きの便の搭乗口だ。階段を降りるごとに暗さが増し、これ以上前へ進めない。係員の女性が死神のようにぼくを待っているのが見えるが、ぼくは反転して再び階段を登る。
 売店がある。ぼくはその男性店員に、寄付のためのTシャツに切手を貼って、「郵送してください」と渡す。シャツは灰色に近い白で、そこに貼る切手も毛の荒い白い布地の感触のある巨大なものだ。だが、ちゃんと糊がついていて、ぺたんと貼ることができる。けれど、どこにも住所が書いてない。店員が「住所がなくては遅れません。だいたい、これが切手だというのはウソではないですか? 私が送り先に電話して聞いてあげましょうか」と言う。ぼくは「いえ、自分で聞きます」と言って、送り先になっているアーティストに電話する。意外にも相手は磊落な男性で、ぼくの「これはウソじゃないかと言われたんですが」という失礼な問いかけにも動じず、「そうかい? ウソかい?」と明るい声で応じる。

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