4月3日の夢(クラリネット)

 会社で退社時間後に社員向けの演奏会が開かれた。クラリネットのソロを頭の半分はげあがった、痩せた男性演奏家が奏でている。社員たちはパイプ椅子を並べてそれを聴いている。演奏が行われているのはロッカーの前だ。
 ぼくはそんな演奏を聞くよりさっさと帰りたい。最初、演奏家の右手にあるロッカーにぼくの私服がある気がして、暗闇の中そこを開ける。だが、そのロッカーは女性用のロッカーだ。ぼくは演奏を中断させて、中央のロッカーを開ける。しかし、私服は見つからない。演奏が中断したままなので、客席の社員たちからぼくに抗議の声が上がる。ぼくは皆と対決するため、演奏家を伴って楽屋へ行く。そこには出番を失った女性演奏家がぽつんと楽器のケースの上に腰を下ろしている。
 ぼくは社員たちを置いて、一人だけさっさと退社の準備をする。二階から一階を見下ろすと女性詩人のYさんが社員食堂のテーブルで何かを飲みながら、にこにことこちらを見ているのと目が合う。ぼくと一緒に退社してくれるに違いないと思ったのに、彼女は席を動かない。ひとりでぼくは山の中の駅に向かう。ちょうど電車がホームに入ってきた。

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