12月9日の夢(花粉まみれ)

 ぼくはまだS社の社員らしい。そこへ元社員の女と男がやってきた。その二人とぼくとは何十年も同僚だったのだが、最近二人はあるコンクールで第一位に輝き、今日は凱旋のような感じでやってきたのだ。二人が持ち込んだ賞品がまるでひな壇のように並んでいて、社員たちが嘆声をあげて眺めている。ぼくはいやな気分になるが、一応見に行ってやる。すると女が「天井を見て! 孔があいているでしょ? あれは私たちの育てた植物が天井を突き抜けて、空にまで伸びたせいなのよ」と自慢そうに言う。いやみな女だ。
 そこは会社の中なのだが、大きな街路樹の繁る何車線もある道路の上でもある。ぼくらはその木陰にデスクを並べて仕事をしていたのだが、席に戻ろうとすると、ぼくのデスクは二人の祝賀会に持っていかれてしまい、残っているのは椅子だけだ。しばらくぼけーっと椅子に腰かけているが、馬鹿馬鹿しいので社外に出る。
 そこは広場になっているが、ぼくの周りはなぜか人けがない。面白い本が並んでいる古本屋が目に入り、中に入ってみる。しかし、意外にたいしたものはない。店主が立ったまま、ぼくを見ているが、その視線を受け流して、また外に出る。
 舗道に腰をおろし、ぼくは持っていたビニール袋を開ける。中には黄色い花粉がたくさん入っている。うっかりぼくはそれをこぼしてしまい、服が上から下まで、黄色い花粉だらけになる。恥ずかしいので、立ち上がり、はたきながら舗道を歩く。何回ぼくは同じ失敗を繰り返すのか。本当にいやになるよ。

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