4月16日の夢(式典の主役)

 日本が国家主義的な社会になっていて、建国記念日のような式典に、それと関連した演劇が上演されることになっている。毎年、それに出演したいなあと思いながら、ぼくは指をくわえて見ていたのだが、今年はなんとぼくが主役に抜擢された。自宅で前の晩にはもうすっかり台本を頭に入れ、ぼくはゆったりと本番の時を待ちかまえている。
 早朝、夜明けとともに、ぼくは満を持して会社に行く。社長ら幹部社員も次々とやってきて、ぼくを祝福してくれ、晴れがましい気持ちだ。いよいよ劇場へ行くことになる。控え室からちらりと見た舞台は、朱塗りの洞窟のような感じ。いかにも日本の古代からの伝統行事が行われるのにふさわしい。だが、式典会場から大声でがなるマイクの声は聞こえるものの、会場に人っ子一人姿が見えないのが奇妙だ。
 出演時間が近づき、ぼくは楽屋に移る。岩の洞窟のようなところだ。洞窟の先の開けたところが舞台だ。だが、やはりマイクの声が響くだけで、誰の姿も見えない。
 いつの間にか、ぼくの出番は無事終わったらしい。前前任の「Pの本」編集長のK女史はぼくと仲が悪いのだが、その彼女も一応祝福に来てくれている。ぼくは彼女にテーブルの上の厚いコピーの束を示し、「この三冊を全部頭に入れてやったから、安心だった」と自慢する。だが、「三冊」と言っているのに、二冊しか見当たらない。もう一冊はどこへ行

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4月16日の夢(式典の主役) への1件のフィードバック

  1. 一色真理 のコメント:

    最後の数文字が脱落しました。最後の行末は「行ったんだろう」が正解です。

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