8月28日の夢(手のひら型食虫植物)

 電車でふと降り立った駅は、東京郊外のまだ開発の手の届いていない町。駅から出て、市内を巡る市電に乗り換える。山間の町なので、これは市電というよりもケーブルカーだ。傾斜のきつい路面を進む市電の内部はまるで観光バスのように豪華。乗客は小学生くらいの少年を含め、2,3人しかいない。窓には分厚い大きなカーテンが激しい風にあおられている。景色を見るのにじゃまなので、外そうとするがうまくいかない。窓の向こうには雪をいただいたスイスアルプスのような高峰がそびえ立っている。だが、なぜか景色全体が映画のスクリーンのように薄暗いのが不思議だ。
 歩くようなスピードで市電は渓谷に似た市街を走っていく。ぼくは「写るんです」を取りだして、美しい景色を撮りまくる。「写るんです」は進化していて、超薄型でとてもカッコイイ。停車した駅のホームでは、この町の特産のゴボウの宣伝販売をやっている。空からヘリコプターが降りてきたと思ったら、それは無線操縦のミニチュアヘリコプターだった。ホームのかたわらには水槽が置かれ、中には食虫植物とその餌が入っている。植物は人間の手のひらそっくり。お腹がいっぱいのときは緑色の握り拳のように見えるが、空腹になるとぱっと指を開いて、餌をつかまえる。そして、餌がいくら暴れてもぎゅっとつかんだまま、けっしてもう放そうとしないのだ。

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