5月22日の夢(沈没する部屋と犬)

 目が覚めると、隣に犬が寝ていた。その犬が口からもどしたのではないかと思われる吐瀉物が、部屋中にばらまかれている。といって、それはどろどろの汚物という感じではなく、黒いインクの染みがまだらについたような汚れ方だ。ぼくが着ている白いTシャツも、まるで印刷したての活字の上に置いてあったみたいに、前後左右に規則正しく行列した黒い汚れの点々で一面におおわれている。
 ぼくは慌ててそのTシャツを脱ぎ、上半身裸になる。そのとき部屋の半分は、まるで傾いて沈没しかかった船内のように水につかっていて、犬はその水におぼれかかる。ぼくは自分も水に落ちてしまわないよう、気をつけながら犬をなんとか救い出す。隣の部屋からは、妻の規則正しい寝息が聞こえてくる。ぼくはその犬が、ぼくの小さな息子であるような気がしている。

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