11月22日の夢(入社試験)

 ぼくが十年以上前まで在籍していたS社の本社ビル。帰社したぼくは驚いた。今朝、出版部が新聞に出した二名の入社募集広告に応えて、二百名ほどの受験生が殺到し、ビルの中が彼らに占領されてしまっていたのだ。出版部の面接会場や待機場所に使うため、ぼくの所属する広告部はオフィスを全部明け渡してしまったらしい。元の自分のオフィスにはコードを抜かれた沢山のiMacが片隅に積み上げられているだけ。同僚は一人も見当たらない。忙しい仕事にすぐにでも取り掛かりたいのに、どうしたらいいのだろう?
 部屋の外に出ると、階段も受験生たちにあふれていて、中には和服のお母さんに引率された明らかにオタクと思われる男の姿もある。母親連れの受験生など全員即刻受験資格なしにすればよいと、ぼくは悪態をつく。
 ぼくはiPadを取り出して、同僚に連絡をとろうとする。だが、iPadの待ち受け画面は知らない他社のホームページに固定されてしまっていて、そこすら抜け出すことができない。見慣れたはずのS社ビルがどんどん見知らぬビルに見えてくる。もしかしたら、ここはS社ビルではなく、ぼくがビルを取り違えただけではないのか。ぼくはエレベーターに乗り込むがその中も応募者たちでいっぱいだ。急いで階数表示ボタンを押すが、エレベーターはびくとも動かない。「ちょっとごめんなさいよ!」とぼくは応募者や母親たちを押しのけてエレベーターを飛び出すが、ますます迷宮の世界に迷い込むばかりだ。

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