10月15日の夢(S社のM)

 ぼくはS社の社員で重役のМのところに昼食のパンを届けに行く準備をしている。そのパンを試食しているうちに、おいしくて、はっと気づくと半分以上のパンを食べてしまった。やばい。残ったパンをトレイに並べ直してみると、なんとか皿一杯という感じになった。ほっとして、部屋の真ん中を仕切る衝立の向こうで待つМのところに持っていき、「お待たせしました。少しお相伴してしまいましたが」と言う。Мは無表情な冷たい顔でガスコンロにフライパンをかざしている。どうやらパンを温めるつもりで、さっきからそうしていたらしい。「こうやってパンはフライパンに載せ、蓋をして温めるのが一番おいしく食べられるのだ。よくレストランでパンがまずいのをシェフのせいにするやつがいるが、けしからんよ」と居丈高にぼくに言う。そこへ一仕事終えた若い社員たちがどやどやと階下から上がってきて、すっかり心服した顔でМの周囲を取り囲む。ぼくはそろそろと後ずさりしながら「そうですね」と営業笑いをする。あいかわらずМのこごとは続くが、ぼくは社員たちの輪から一人抜け出すことができた。

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