6月21日の夢(親会社の横暴)

 親会社のS社でファンタジー小説の本を出版するという。それも新人女性作家の書いた、何巻もある長編ファンタジーだ。「こんなにも身近なところに本格的なファンタジーがあった」というキャッチフレーズで売り出すらしいが、ファンタジーには一家言あるぼくのところには何の話もなく、出版発表の記者会見にも呼ばれなかった。
 我がC社の社員たちは皆、この企画に懐疑的である。記者会見から戻ってきた女性社員二人が「あと一万六千円出せば、反対派の意見も発表していいと言われた」と、ぷりぷり怒っている。ひょっとして、ぼくにそのお金を払えということかと思うが、それは言い出さないでおく。何でもその本のテーマである薔薇に関連するさまざまなグッズもメーカーと提携して売り出す予定だという。
 会議室でぼくともう一人の社員が仕事をしていると、記者会見を終えたS社のK会長たちが入ってはて、腰を下ろし、いきなり会長がぼくに「どうする?」と言う。ここから出て行けという意味だと判断し、「さっきからここで仕事をしていたものですから」と捨て台詞を残して、ぼくは部屋から出る。
 オフィスに戻ると、ぼくが会議室にいたほんのわずかな時間の間に、部屋の配置がすっかり変わっている。今まで縦に並んでいたデスクが横に並んでいて、関連する書類棚もきちんと配置換えされている。びっくりする。でも、自分の席のところに一つだけ邪魔な荷物が置いてあったので、それを別の場所に移動させようとするが、置くところがない。しかたなく通路に置く。よく見ると、通路という通路に荷物が置いてあり、これではじゃまでしょうがないと思う。
 営業のМくんに東北出張の命令が出たという。このファンタジーの舞台である東北各地を回り、もっといい筋書きのアイデアを探して、書き直せという命令だという。営業のМくんにそんなことができるわけがない。これは体のいい追放処分じゃないか。親会社の横暴に腹が立つ。

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