8月26日の夢(アンティークな列車)

 ぼくは古い懐かしい感じのするアンティークな列車に乗っている。窓の外の線路を、やはりアンティークな古い列車や貨物列車が通り過ぎていく。車内に貼られている広告も、みな奇妙で時代を感じさせるものばかりだ。
 駅に列車が停車する。駅舎もアンティークな建物だが、ゆくてに現代的な高速道路の高架が見える。それがゆっくりと、スローモーションのように倒壊する。列車はまた動き出した。高架を走っているというより、殆ど空を飛んでいる感じだ。川が見える。川の水面の途中に古い時代と現代との境目があるらしく、そこで空間に段差ができていて、水が白く泡立ちながら流れ落ちていく。
 海岸に列車は出た。たくさんの白い海鳥が空を飛んでいる。「ここはどこだったろう?」「こんな景色はたくさんあったからね」と、ぼくは隣の席の同乗者と会話する。
 いつのまにかぼくらは列車を降りて、街を歩いている。ぼくは十代の若い少女で、小さな少年を肩車している。その少年もまたぼく自身であるような気がする。ぼくらの後を遅れてついて歩いていた若い男(ぼくらよりは年上)が突然、ぼくらを追い抜き、行く手をふさぐ壁に手を突っ込む。すると、壁は壊れて入り口が現れる。さらに男はまっすぐ手を差し出すが、壁はそれ以上開かない。後ろから覗き込んだぼくである少女が「こっちよ」と左手を指示する。男が言われるとおりにそちらに手を突っ込むと、入り口が現れて、ぼくらは小さな酒場に入ることができた。
 酒場にはママさんがひとりで客の相手をしている。そこへ入ると、男の体を学生服が包み込む。不思議な白い点々とした染みが学生服にはついている。そして男はギターを持ち、「丘をこえて行こうよ」と歌い出す。店内は若い男女でいっぱいで、みんなもぼくである少女も手拍子で男に合わせる。
 歌い終わるとママが言う。「どこへ行くの?」 男もみんなも口々に答える。「フィリピン」「南シナ」・・・、みんなこれから出征して死んでいくのだ。ぼくである少女の目から大粒の涙があふれ出す。

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