8月14日の夢(すり替え)

 ぼくは美術評論家だ。今日はある優れた展覧会を紹介するコラムを書いている。添付するために出展された作品の一つを写真に撮る。それは八分の一に切り取られたピザの断片のようなもので、うまく切り離せなかった部分が尻尾のようにくっついている。入稿してからはっと気づく。これは入稿直前にすり替えられた偽物の作品だ。この断片は人間生活の醜悪さを象徴するもので、展覧会を否定しようとするものが置いて行ったものだ。だが、もう既に遅い。

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8月9日の夢(上司の多い編集部)

 ぼくはファッション雑誌の編集部にいて、とても忙しい。デスクの上には大型モニター付きのパソコンがあり、そこに見開きページの組版を表示しながら、原稿を書いている。ぼくの上には男性二人、女性一人と三人もの上司がいるので、それぞれの命令を聞くのがとても煩わしい。直属の男性上司は痩せた初老の男だ。ぼくに「コートのことで話がある」と言う。「どのコートの話ですか」と言いながら、ぼくは席を立って、彼の後についていく。けれど、編集部の中は駅の構内のようにごった返していて、彼の姿を見失ってしまい、しかたなく自席に戻る。
 一つ無人のデスクを隔てて、左には新入女性部員が二人いて、女性管理職から回覧板を受け取り会話している。しかし、回覧板はぼくのところには回ってこない。
 女性管理職は今度はぼくの席へやってきて、原稿を書き直すよう注文をつける。原稿段階に戻って書き直すのは面倒なので、デスクトップに表示された見開きの組版からテキストを消して、書き直そうとする。だが、どうしたらこのテキストを消すことができるだろうか? いつのまにかパソコンのモニターは女性管理職の顔になっていて、その顔から原稿を消そうと押したり引いたり四苦八苦するがどうしても消えない。新入社員たちの手前、先輩としての威厳を示したくて、ぼくは焦る。

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8月5日の夢(パンツをなくす)

 避暑地の知人の別荘に居候をしている。自分の一枚しかないパンツが見当たらないことに気づく。ぼくは病気なので、特別仕様のそのパンツなしでは困るのだ。家主のタンスや鏡台の引き出しまで開けて探し回るが、見つからない。だんだんイライラしてくる。外に出ると、道路に出ていた奥さんが「何かなくなったの?」と尋ねてくるので、事情を説明する。
 会社で女友達の作った商品が採用された。だが、その商品にアクセスするには、玄関に置かれた電話機をはじめとする沢山の小型の機械を経由しなくてはならない。これまでの商品に比べて、その列がいやに長い。ぼくは壁との隙間を詰めたりして、少しでも列が短くなるようにする。

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8月3日の夢(父の小言)

 ぼくはホテルで子供たちを預かっていて、今日は徹夜だ。とても忙しいが、一度実家に戻ってそのことを報告しようと思う。実家は広大な白亜のマンションで、曲がりくねった長い廊下を歩いて行かねばならない。玄関を開けて、立ったまま母や祖母に、預かっている子供たちの番号札を輪ゴム留めしたものを見せていると、思いがけなく中から白い服を着た父が出て来た。母や祖母よりも背丈が低い。番号札を見せると、父は相変わらず口うるさく、「これらの子供たちをちゃんと風呂に入れなくてはいけない」とぼくを叱責する。ぼくはうんざりしながら、「ホテルでちゃんと風呂に入れていますよ」と答える。

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8月1日の夢(ホテルでのんびり)

 ホテルの部屋で目を覚ました。今日は仕事もなく、慌てることは何もない。部屋に常備してあるビニール袋の中に親指ほどの大きさの安全カミソリが入っている。その一つを取り出し、頬の髭を剃る。デスクの上は書類でいっぱいで、その中で光が点滅している。音を消したラジオの音量を示すインジケーターの光らしい。いや、これはもしかしたらケータイの着信を示す光ではないだろうか? と思っているうちに、安全カミソリがどこかへ行ってしまった。まあいいか。ビニール袋から二つ目のやや大きな安全カミソリを取り出す。デスクの上に新品のシャツがあるのが目に入る。以前の泊り客が忘れて行ったものかもしれない。ぼくのものにしていいだろうか? テレビにニュースが映し出されている。犯罪者の二〇代の男を四〇代の男が匿っていたという。時計を見る。11時だ。でも、今日は暇なので、何も慌てることはない。

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7月30日の夢(きれぎれの夢)

 ホテルの部屋のように見えるが自分の部屋かもしれない。美しい部屋にタイル張りの浴槽がある。その中にパイプのようなものが縦に取り付けられていて、水面に口が開いている。中には黒い大便が溜まっている。お風呂に入りたいが、ちょっといやだ。
 バスに乗っている。バス停で停車時間中に一度降りて買い物をする。再び乗り込むと、さっきまでぼくの座っていた座席には、二人のスーツ姿のサラリーマンがいる。そこにぼくの鞄が置いてあったはずだが、どこへ行ったのだろう?
 家に帰ると、新しい部屋があり、ギターが置いてある。ギターには白い格子のようなものが付いている。楽譜を見ると、弾きながらこの格子を叩いて音を出すようだ。しかし、やってみると、とても難しい。
 壁に棚があり、そこにボクサーパンツが置いてある。パンツの上には火のついたタバコがある。火を消したいと思うが、火を消すとパンツも消えてしまう。家にはもうパンツがないので、消さない方がいいだろうか。

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7月29日の夢(今日も浜松出張)

 会社で仕事をしている。ものすごく沢山の仕事があるので、通し番号を振って仕分けしないと、忘れてしまいそうだ。
 同僚たちといっしょに浜松のY社に出張する。ほかの打ち合わせがある同僚たちは二階への階段を登っていき、ぼく一人が一階で待つことになる。同僚女性の一人がぼくに、打ち合わせテーブルの方を黙って指差す。ほかにもたくさんの業者が打ち合わせに来ているので、どれか一つを確保しておけということだろう。実際、使い勝手の良さそうなテーブルはどんどん他の業者に占拠されている。ぼくも急いで、何人か座れるテーブルの一つを確保する。
 もうお昼近くなったのに、なかなか皆は二階から降りてこない。お腹が減ったな、と思う。そこへ二階から階段をY社の女性社員二人が降りてきて、ぼくの顔を見ると「わあ、なつかしい!」と声を上げる。以前、ぼくのクライアントだった人たちだ。しばらく彼女たちと世間話をして別れるが、まだ同僚たちは降りてこない。そして、ぼくの周りではますます業者たちの椅子取り合戦が熾烈を極めだしている。

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7月27日の夢(免許の試験)

 これから車の運転免許の試験を受けなければならない。試験場は大きなビルだ。試験の設問ごとにこのビルの部屋を一つずつ訪問して、受験者は設問に答えなければならない。中には油絵を描いたり、パステル画を描くことを求められる部屋もある。油絵を描く部屋で、試験官がぼくに「油絵はどうやって描くか、知っていますか」と尋ねる。ぼくは「知っています。まず空色の絵の具で輪郭を描くことから始めるのです」と答える。

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7月21日の夢(退職の日)

 今日はぼくが会社を退職する日だ。そのための最後の会議が経団連会館を借りて行われる。この会場を選んだことへの儀礼なのか、経団連会長も出席して、挨拶をしてくれた。皆にぼくが別れを告げ、辞去しようとすると、会長がぼくに近づき女性もののコートのようなものを手渡す。今度はこれをぼくにデザインしてほしいというのだ。ぼくは礼を言って受け取り、まずはトイレを探す。だが、建物は工事中で作業員たちであふれ、そのフロアのトイレは壁がなく、全部外から見えてしまう。階下に降りたいが、エレベーターも見当たらない。ぼくは辞去したばかりの会社に戻り、社長に小さな声で「ただいま」と言う。そして「経団連の会長にこのコートを貰ったが、ぼくには一人で独立してコートをデザインする自信がない。会社でやってもらえないだろうか」と頼み込む。

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7月14日の夢(最後のリサイタル)

 久しぶりにホールで声楽のリサイタルをすることになった。だが、プログラムに印刷された曲の殆どはぼくの知らないものばかりだ。前半はなんとかこなしたが、休憩時間に頭を抱えてしまった。もうプログラムの中に知っている曲がないのだ。女性スタッフが「客入りはどうですか?」と声をかけてくる。「二階はまあまあ入っているんだけれど、二階席はぼくからは目に入らない。よく見える一階席はがらがらです」とぼくは答える。
 もう休憩時間を十分間もオーバーしてしまった。これ以上、うじうじしていられない。ぼくは意を決して、一階から二階、そして舞台へと続く壁際の坂道を、駆け上がっていく。そんなぼくを客たちが拍手で応援してくれる。意外にも客席はほぼ満席だった。一階席を登り切って、道は右の壁際から左の壁際へと移る。こちらはまるで神社の山門に続くような石段である。しかも、そこを二台の白い車が降りてくる。困ったなと思っていると、ぼくの姿に気づき、二台の車は次々とUターンして、道をあけてくれた。
 そして、ぼくはついに舞台にたどりついた。マイクの前に立つ。もういいじゃないか。プログラムに書かれていなくても、後半はぼくが子供のときから歌い込んできた、好きな歌をうたおう。「次の曲は〈涙をこらえて〉です。これはダークダックスがロシアに演奏旅行したとき、向こうで採譜した曲です」と前置きして、ぼくは歌い始める。少しだけ間違えたけれど、なんとかぼくは歌い終える。盛大な拍手が湧きおこる。これでいいのだ、とぼくは思う。今日はぼくの最後のリサイタルなのだから。

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