5月2日の夢(ヴァーチャル・ワールド)

 会社で卵料理を作った。皿を探すが見つからないので、とりあえず左のてのひらに乗せる。オフィスは真ん中にデスクが並び、壁際はすべて食器棚である。居合わせた同僚たちも探してくれるが、その食器棚にはぼくの料理にふさわしい皿が一枚も見当たらない。
 その日、新しい社長が就任した。なんだかヤンキーのような男で、信用できないが、ぼくともう一人の男性社員とともに、新しいクライアントにプレゼンに行こうというので、しかたなく従う。クライアントのオフィスのあるビルの階段を上りながら、ぼくは名刺を忘れたことに気づいて、社長に言う。だが彼は「ぼくも今日来たばかりだから、そんなもの持っていないよ」と、にべもない。
 いよいよプレゼンが始まった。それはぼくが今まで見たこともない、ヴァーチャル・リアリティの世界だった。クライアントのオフィスは一瞬にして、ファンタジックなアニメ映画のような世界に変貌する。驚愕しているうちに、プレゼンが終わると、ヴァーチャルの世界で活躍していたキャラクターの二人は、実は顔などに特殊メイクを施した実在の男たちであることが分かる。ぼくの質問に二人は、「リアルな人間が混じっていた方が、ヴァーチャルの世界がよりリアルになりますから」と照れながら説明する。
 会社のデスクに戻る。ぼくはとっくに定年を過ぎているが、まだ「Pの本」の編集長を続けなければならない。何の企画も取材もしていないが、果たして次号が発行できるのだろうか。隣のデスクにY社銀座店の店長だったK氏が座っていて、「〇〇という町でぼくは……」という話をしている。ぼくは驚いて、「その〇〇にぼくは住んでいるんですよ」と話しかける。しかし、〇〇という名前の町は全国にいくつもあるので、別の町の話だったかもしれないと気づき、彼に勘違いの詫びを言う。彼もとまどった表情でぼくを見返し、二人の間でちょっとした沈黙の時間が流れる。

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4月15日の夢(企画書紛失)

 会議室で半世紀前に早稲田詩人会の会員だったT氏、先輩女性詩人のKさん、それに中年の子育て研究サークルの知らない女性たちと、子供たちのためのパーティーの企画会議をしている。前半の会議はぼくのリードでスムーズに進んだが、後半の子供たちのためのゲーム企画のテーマになったところで、テーブルの上の書類の束の中に、せっかく準備したぼくの企画書がないことに気づく。書類の一番上にあった下書きを一瞥し、女性たちは「面白くないわね」とにべもなく言う。そして部屋の別のテーブルに場所を移し、自分たちの企画書を手前みそに面白がりながら、どんどんプレゼンしていく。ぼくは必死でテーブルのあちこちに置かれた書類の束を探し回るが、ぼくの企画書は見当たらない。テーブルからTくんやKさんもそっと席を立って、部屋を出て行ってしまった。ぼくだけが屈辱感にまみれながら、一人で企画書を探し続ける。

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4月13日の夢(荒野の中の劇場)

 劇場の地下にあるバックヤードを歩いているうち、四方を青い壁に囲まれた小部屋に迷い込む。壁以外に何一つない部屋。振り返ると、自分の入ってきた入り口が見当たらない。驚いて戻ると、入り口がすっかり壁に溶け込む仕組みになっているのだ。この部屋に誰かを誘い入れて、殺してしまうこともできるなと思う。自分が出入り口を見失わないように、赤のボールペンで丸印をつける。
 地上に出てみると、そこは丘の上に立つ一軒家だった。自分が元いた場所に戻ろうと歩き出したものの、スポーツセンターの敷地に迷い込んでしまった。男性のインストラクターが体操の指導をしているところで、彼の体にぶつかってしまい、「すみません」と謝罪する。
 会社へ通勤するためのバス停が遠くに見える。そこまでは起伏に富んだ荒野が広がっているが、ぼくは突然空に飛びあがり、地上すれすれを低空飛行で、あっという間にバス停にたどり着く。
 バス停には小劇場の次回の公演プログラムが置いてある。誰かが「〇〇さんのためにこれを持っていくの?」と尋ねる。ぼくは、そうだ、それがぼくがここに来た目的だったんだと思い出し、「そうだよ」と答えると、プログラムを一枚手に取って、やってきたバスに乗り込む。

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4月2日の夢(サンマ)

 大きな窓から日のさんさんと差し込むオフィスだが、教室のようでもある。若い男女の同僚たちとランチを食べているのだが、ぼくにはご飯の器しかなく、おかずの皿がない。白い皿がいくつも並ぶ中に、一つだけサンマが一匹載っている。きっとあれがぼくのお皿だろう。「それ、ぼくの…」と言うと、女性社員の一人が「あらあ残念。余っているなら、私が食べようと思っていたのに」と笑う。
 そのとたん、ぼくは自分がズボンをはいていないことに気づく。デスクの下からごそごそと新しいズボンや上着を出して身に着けるが、みんな原色の黄色でなんだか派手なものばかりだ。そういえばベルトが切れたので、古いズボンを脱いだのだったと思い出す。新しいベルトは編み編みのもので、なかなかかっこいい。ズボンもうまくはけて、意外におしゃれな自分に変身した。
 服を身に着け終わり、さあランチを食べようと思うと、さっきのサンマが見当たらない。みんな素知らぬ顔をしている。結局、食べ損なったみたいだ。

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4月1日の夢(銀世界)

 目覚めて古風な町家の玄関を開けて外に出ると、思いがけず一面雪が積もって銀世界に一変している。しんとして神秘的な青白い雪野原がどこまでも広がっている。積雪は何センチあるのだろう?と思う。

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3月30日の夢(京都イベント計画)

 京都の古い街並みの町家で、黒い板塀の戸口を開けると、土間のような玄関のデスクの向こうに古い友人のピアニスト、Sさんが座っている。ぼくらは二人で新しい舞台の打ち合わせをしているところだ。ぼくは途中でちょっとした用を思い出し、表の細い路地に出る。外は静かに霧雨が降っている。ところがあまりに路地が狭かったため、間違えて向かいの家の戸口を開けてしまったことに気づくが、何食わぬ顔をして戻る。この舞台に来てくれた客には、二人で著書にサインをし、おみやげとして配ればいいと思う。

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3月29日の夢(市ヶ谷の水辺リゾート)

 東京・市ヶ谷の仕事先に荷物を届けるため、久しぶりに総武線の電車に乗った。車内は満員で、ぼくは黒いスーツケースと大きな段ボールを床に置いて、立っている。駅に着いたので、スーツケースを置いたまま段ボールだけを抱え、進行方向右側の出口からホームに降りる。スーツケースは後で回収すればよいと思う。ところが駅の感じが微妙に違う。市ヶ谷駅は進行方向左側から降りるのではなかったか。そうだ。ここは市ヶ谷駅ではない。四谷と市ヶ谷の間に新駅ができ、そこでリゾート開発が行われているはずだ。慌ててもう一度車内に戻る。電車が走りだすと、窓から緑豊かな丘陵に囲まれた広大な入り江が見える。都心だった四谷と飯田橋の間が、海と山のある大自然の風景に造り替えられているのだ。いつのまに東京はこんなふうに改造されたのだろうか。ぼくは驚きながら新しい市ヶ谷駅のホームから、鬱蒼と茂った山道を段ボールを両手に抱えて下っていく。

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3月22日の夢(リュックに水を)

 愛用の黒いリュックを開けて、水道の蛇口から中に水を注ぎこむ。リュックには円筒形の物体が入っていて、それが半分ほど水没するあたりで水を止めた。

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2月29日の夢(すべてはマンガだ)

 会社をサボりたいので風邪の診断書をもらおうとクリニックに向けて歩き出す。しかし、既に風邪の症状は治っているので、診断書を貰うのは無理だろう。それより以前勤めていた業界紙「印刷研究社」を訪ねて営業をかけた方がよいと思い、手土産に菓子折りを持ち、手近のバス停からバスに乗る。しかし、バスはJRの駅に行くには行くが、かなり遠くの駅に向かう。すぐそばのJR駅の隣駅に同社はあるのだから、JRに乗ればよかったなと思うが、もう遅い。
 印刷研究社に着いた。広い講堂のようながらんとした場所で、同社の社長はほかの来客と面談中だ。ぼくは持参した菓子折りを開けて面談の終わるのを待つ。だが、その話し合いを見ているうちに、すべてがお金で動いていく社会に嫌悪感がつのる。ぼくは菓子折りを再び閉じ、包装紙の上に「マンガ」と書いて、その場を立ち去る。すべてはマンガのように滑稽だと、ぼくには思えたからだ。

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2月23日の夢(タクシーでNHKに行く)

 書類が郵送されてきた。開けてみると、「NHKに手続きに行ってください。タクシーを利用するなら、その内三千円を負担します」と書いてある。ぼくはすぐにNHKに行くことにして、夜の街に飛び出し、タクシーを拾う。
 運転手は若い気弱そうな男である。ぼくは「NHKへ行ってください。NHKといえば渋谷だね」と言う。タクシーが走り出してから、ポケットの財布を探るとやけに軽い。全くカラであることに気づく。だが、どうせ夢なのだから、お金を支払う真似をすればいいのだと思う。
 NHKの前に着いた。書類を見せて、お金を払う真似をすると、運転手は「234円です。残りの三千円はこの書類に書かれた三ノ宮に請求すればいいのですね」と言う。
 タクシーを降りて、建物に入ると、そこはNHKではなく民放だった。ロビーには守衛がいたが、見とがめられることなくぼくは階段を上る。そこでは番組スタッフが忙しそうに働いている。ぼくは手続きに行く前に、まずすトイレに行こうと思って、目を覚ます。

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