4月9日の夢(床に画鋲)

 久しぶりに音楽教育研究家のI氏をインタビューしている。そこは広いオフィスの一番奥に置かれたベッドの上である。I氏はぼくに彼が原稿としてメモをした青色のノートと、それをもとに清書した赤色のノートの2冊をぼくに貸してくれる。だから、ぼくは自分でノートをとる必要がなく、彼の話をただ聞き流しているだけだ。
 インタビューはある演奏家の少年が講演中に話に詰まってしまい、話すのをやめて歌いだした、というところまで進んだ。ところが突然、I氏は「ちょっと広い部屋へ行ってくる」と言い、ぼくをベッドに残して、どこかへ行ってしまった。トイレなのか、あるいはタバコを吸いに行ったのだろうか。
 ぼくもベッドを降りて、がらんとしたオフィスを歩く。ぼくの会社は民事再生法を申請したので、殆ど倒産したも同然で、フロアは殆どデスクもない。歩けば歩くほど、その向こうに空間が広がる。こんな大きな会社だったのかと驚く。途中でI氏に出会い、「ここにもとは出版部があったんですよ。でも今後はひとに貸すことになります」と話しかける。
 さて、元の場所に二人で戻るが、ベッドがない。同僚に尋ねると、フロアの反対側の端に移したという。延々と歩いて、反対側の端に行くと、四畳半ぐらいの狭い部屋の中に窮屈にさっきのベッドが置かれていた。インタビューを再開しようとするが、青と赤のノートを前の場所に忘れてきたことに気づく。I氏に「探してきます」と断って、フロアを元に戻る。床には一面に画鋲がまかれている。ぼくはそれを踏まないよう、這って進む。元の場所にたどりつくと、怖そうな顔の男がいる。彼にノートの所在を尋ねるが「知らない」と言われる。ぼくはしかたなく画鋲の床を這って戻る。四畳半の部屋にノートはもしかしたらあるかもしれないと、一縷の望みを託して。

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4月6日の夢(米研ぎ)

 妻の手伝いで、夕食のために米を研ごうとしている。部屋には何種類か、米を入れた箱や袋が置いてある。その一つから枡で米をすくい、いざ研ごうとすると、それは米ではなく、葉っぱばかりだ。慌てて別の袋から米を取り出すが、それは米ではなく蕎麦だった。これではちっとも夕食の支度がはかどらない。流し台で料理の準備を始めた妻にも怒られながら、ようやく正しい米の入った長方形の箱を手にとったところへ、父親と祖母が、いかにも農家の嫁という感じの女性を伴って、帰ってきた。まだ赤ん坊のぼくらの息子を女性に見せたいのだ。祖母は周りの物を片づけ始め、そのためにせっかく見つけた米の箱がまたどこかへ行ってしまった。ぼくが「おばあちゃん、いいかげんにしてよ!」とどなりつけると、祖母は「はい」と言って、その場に硬直する。ぼくが米を別の容器に移し替えようとするのを、父は手伝おうという仕草をしているが、緊張のあまりその手がぶるぶると震えている。ぼくが怖いのだ。父親は笠智衆である。

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4月5日の夢(カード数え)

 廊下でカードの枚数を数え直した。最初、一人の女性のそばで数え直しを始めたが、廊下の一番どんづまりに詩人のアイザワさんのデスクがあるのに気づく。そこまで移動して、そのデスクの下でさらに数え直しを続ける。とてもカードの数は多く、数え切ることができない。途中で、昼食の時間になった。皆に促され、しかたなくカードをデスクに置き、上に本を一冊重しに置いて、外に出かけることにする。そこへ幼稚園児たちがどっと駈け込んできた。彼らがカードをひっくり返してしまうんじゃないかと、ぼくは気が気でない。

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4月4日の夢(国務省)

 アメリカ国務省に妻と二人で行く。ガラス張りの大きな窓の前に長いカウンターがあり、アルファベット順に各部署につながる電話機が置かれている。ぼくの持っている部署カードは「NT」という頭文字で、これで「ディー」と発音するのだという。だが、二人で何度探しても、そんな部署は見当たらない。

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一色真理

 通勤のため、地下鉄の一両目に乗る。気づくと黒服の海上自衛官がいっぱい乗車している。出動する部隊の専用車なのかと、慌ててホームに降りる。
 だが、そうではなかった。どの車両も黒服の自衛官でいっぱいで、通勤客たちは満員の車内に乗りきれず、ドアからあふれだしてしまう。電車からはみだした男性通勤客の頭がホームの構造物にぶつかりそうだ。慌てて電車は急停止する。
 次の列車に乗ったが、行き先を変更し、東京駅ではなく銀座に向かうという。降りなくてはと、茣蓙の敷かれた車内で自分の脱いだ靴下を探す。周囲は脱ぎ散らかされた靴下でいっぱいだが、どうしても自分の靴下が見つからない。床には壊れた何かの機械が置かれている。さっきの騒動で壊れてしまったらしい。列車は突如、地下深くへ急角度で突入していく。
 銀座駅で降り、エスカレーターで地下街に降りる。なぜかぼくはエスカレーターに後ろ向きに乗っている。すぐ後ろに二人の少年がいて、ぼくに因縁をつけてくる。降りる寸前、ぼくはぱっと前を向いて、転倒せずにエスカレーターから降りることができた。少年たちから急いで逃げる。
 デパートの地下街にはぼくと同世代の女性詩人がいて、二人は階段の踊り場で「どうぞお先へ」「そちらこそ」と譲り合い、どちらも進退窮まってしまう。

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4月1日の夢(ロボットに襲われる)

 ロボットが次々と人を襲っている。フェイントをかけるようにして、突然固い金属の塊を投げつけてくる。しかも「一色さん、一色さんはどこへ行った?!」と、ぼくを名指しで襲ってくる。ぼくは狭くて細長い小さな部屋に逃げ込んだが、すぐにロボットに見つけられ、ドアを開けられた。ロボットにはぼくが見えているはずなのに、手探りするだけでぼくをつかまえることはできない。
 ようやくロボットは立ち去る。しかも、穴の中に落っこちてしまった。穴の上に蓋をし、その上に力を秘めた言葉を書いた紙を沢山置く。これでロボットはねう地上に出てくることができないだろう。

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3月31日の夢(山田さん)

 ぼくの編集している「ピアノの本」という雑誌の発送用封筒の刷りこみについて、いろんな人から尋ねられたので、見本を探そうとする。会社のデスクや棚を探し回るが、どうしても見つからない。会社の中は足の踏み場もないほどに書類が床や壁一面にぎっしり詰まっている。
 隣のデスクのアシスタントの女性に尋ねようと思う。それに雑誌の発送も依頼したい。しかし、彼女は席を空けたまま、なかなか戻ってこない。やっと戻ってきたが、かんじんの彼女の名前を思い出せず、声がかけられない。皆が「山田さん」と呼んでいるが、本当にそんな名前だったろうか。ぼくには彼女が別の名前だった気がしてしかたがない。それに、皆は彼女が正社員であるかのように、大事な仕事を彼女に託しているようだ。
 隣のセクションから若い男性社員が飛び出してきて、いきなり「なんとかさーん、なんでそんな名前の喫茶店をやってるの?」と窓の外に声をかける。見ると、山田さん(でも男性社員は別の名前を呼んだ)が校庭のはるか遠くに椅子をいくつか置いて、子供たちのためにお茶を出す喫茶店をやっている。
 ぼくはデスクで分厚い文学書の第1巻を読んでしまったところだ。会社で公然とこんな本を読んでいてよいのだろうか? 早く次の巻を読みたくてちまらないのに、その第2巻はやはりいくら探しても見つからない。
 女性が窓の外を指さし、「誰かさんが帰ってしまうのはなぜ?」と、ぼくに尋ねる。その女性は半世紀以上前にぼくの同級生だった小滝さんだ。小学生のときは眼鏡をかけたいかにも秀才ふうの女の子だったが、成長した彼女は輝くような女性になっている。

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3月26日の夢(地下鉄トンネルの少女)

 地下鉄に乗っていると、急ブレーキがかかって停止してしまった。まるで時間が止まってしまったかのような中、先頭の車両から線路に降りると、レールの真ん中に穴があいていて、そこから工事のヘルメットをかぶった若い女性が首だけを出している。線路のかたわらにも別の女性のいる気配がある。首だけ出した女性は「また会ったわね。私たちはエスは交わしていないけれど、詩人よね」と言い、ぼくにさまざまな深い真理を含蓄のある言葉で教えてくれる。そして「もっと教えてあげたいことがあるから、また会いましょうね。今度、ランチの後であそこへ行きましょう」と言う。ぼくは時間がないし、そんなことは迷惑だなと思うが、彼女たちは魔術のような力で、時間を止めてしまえるから、問題は起きないのかもしれない。「あそこ」とは秘密のバーのようなところらしく、そこへ行けばぼくはとても大切なことを彼女たちから教われるのだ。首だけ出した地下の女性はぼくに「きっときっとよ。約束してよね」と迫る。

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3月23日の夢(海のミニ火山)

 海で写真取材をしている。波打ち際で小さなミニ火山が2つポッポッと噴火している。
そのことを「知っているかい?」と尋ねられたので、「知ってるよ」と答える。
 学習施設で教師をしている。この施設では生徒の足りないところを集中的に個人授業できる個室が沢山用意されている。上司はぼくの父親だ。ぼくと打ち合わせをしたいからと会議室を予約し、ぼくに「牛乳でいいな?」と尋ね、ぼくが「いいよ」と言うと、食堂のおばさんに「それから、おれはチャーハン」とオーダーする。自分一人だけ食べるつもりらしい。

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3月21日の夢(便器のないトイレ)

 以前在籍していたS社にいる。いい企画書が書けたので、出版部に持ち込みたい。誰のところに持っていけばよいだろうか。皆の意見を聞き、わりと若い出版部員に見てもらうことにする。
 出版部は外国人の採用を決めたようで、沢山の黒人女性が座って、面接の順番待ちをしている。企画は出版部でも幸い好評で、満足してオフィスに戻ると、ぼくの席には他の同僚が座っていた。女性社員たちがぼくに「歌をうたって」と言う。「他の人の方が上手だよ」とぼくは依頼を断り、トイレへ行く。
 トイレはドアの前に木製の椅子が置いてあって、ドアが少ししか開かない。その椅子を取り除いて、中へ入る。手前の狭い土間に立って、奥の広い土間に放尿する仕組みだ。便器はないが、奥の土間は本来は大便をする場所のはずだ。そこを汚してしまうのは、後で自分が困るだろうと思いながら、背に腹は代えられず用を足してしまう。

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