10月11日の夢(割引乗車券)

 知人たちと四人で駅前広場を歩いている。メンバーは老詩人のH、若い男性詩人のS、さらに名前を知らない眼鏡をかけた中年女性の四人である。広場といってもそこは未舗装の荒野で、遠くに駅舎がぽつんと見えているだけだ。

 眼鏡の女性が「JRに新しい割引制度ができたそうですよ」と言って、リーフレットを皆に見せる。四つ折りにすると、定型封筒にちょうど入る大きさである。「それはお得ですね。じゃあ、私がまず申し込んでみますよ」と、お調子者の老詩人がひとりで駅に向かおうとするので、「じゃあ、ぼくの分も申し込んできてよ」と言う。しかし皆に「そんなの自分で申し込みなさいよ」とぴしゃりと言われてしまう。

 駅から引き返してきた老詩人は「これはダメでした。喘息の人じゃないと申し込めないものなんだそうです」と報告する。ぼくは「あっ、それならぼく大丈夫です。喘息だったことありますから」と言うが、皆は全く取り合おうとしない。

 手渡されたカラー印刷のリーフレットを改めて眺める。裏表紙には誰か画家が描いたものらしい、街を流れる小川の美しい水彩画が使われている。どうゆら野川が渋谷に流れ込むあたりの風景らしい。

 皆と別れ、最後に残ったSも飯田橋あたりの階段をすたすたと登って、姿を消してしまう。ぼくはひとりになってしまった。

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