10月13日の夢(透明少女と映画館)

 小太りの少女がスコットランドから来た旅芸人の演技を見ているうちに、自分も何かを演じたくなってしまった。ぼくは彼女がスコットランド音楽を演奏するのだと思ったのに、彼女は舞台の上で衣服を脱ぎだした。そして、衣服を脱いだとたん、彼女の肉体は目に見えないものになってしまう。だが、よく目を凝らすと、舞台の真ん中で妖精のような小さなサイズに縮小し、下着姿で踊っている少女の姿がうっすらと見える。
 映画館にやってきた。戦後のバラックのような映画館だ。上映前にまだ僅かだが時間がある。ぼくは最前列右側の長椅子に席をとっていたが、この暇にトイレへ行こうと思う。スクリーンと客席の間に、右側に非常口があるというサインが出ている。しかし、ここにはトイレはないかもしれない。後ろの通路には必ずトイレがあるだろうと思い、ほかの観客たちと一緒に後ろのロビーに出てみる。
 案の定、トイレはあったが、トイレの中は狭くて汚い。人とすれ違うのも難しい。中にいた人が出てくるのを待ち、一番奥の便器まで行く。用を足すと、キャロットスープのようなオレンジ色の尿が出る。すぐそばに白いズボンをはいた若い女性がいて、そのズボンににんじん色のおしっこがかかる。女性は一瞬顔をしかめるが、すぐに「なんでもないよ」という感じの笑顔になる。ぼくは申し訳なさでいっぱいになる。

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