友人のマンガ家Sさんがぼくのためにアパートを借りてくれた。昭和の木賃アパートの二階で、住んでいるのは貧しくて荒々しい若者たちばかりだ。公務員がやってきて、台風の被害はどうだったかと聞くので、気がついたことを教える。
今日はSさんが昔暮らしていた家に行く。その家はがらんとして狭く、室内には何もない。さらに行くと、公園のようなところに出る。その先に大きなホールのような建物があり、ここもSさんの家だ。いや、このホールのためにこそ彼女は家を借りたのだ。ホールはガラス張りで、若者から中年までの男女が熱心にステージを見つめている。左手のドアをあけて中に入る。皆不審そうにぼくを見る。「Sさんの友だちです」と言うと、フレンドリーにぼくを通してくれる。けれど、ぼくのいる場所からは彼らの見つめているステージを見ることができない。