寝室を覗くと、ベッドの上にぼーっと立ち尽くす死んだ父親の姿がある。さっき見たときはなかったのに。
自宅の前にお店が三軒ある。妻はそこで買い物をすると言うが、二軒でしか買い物できない気がする。一軒の店の名前を「メアリー……」と紙に書く。「ここはダイソーだよね」と、ぼくは妻に確認する。
妻が出勤したので、ひとりで雨の街に出る。履いている黄色のズック靴はびりびりに破れて、ほとんど足に引っかかっているだけだ。しかし新しい靴を買うお金の手持ちはない。家に帰れば立派な黒の革靴があるのだからまあいいかと思う。