9月29日の夢(Yさんの家)

 詩人で芥川賞作家のYさん(女性・故人)の家を訪問する。家は多くの幼児を預かる施設になっている。Yさんは内向的でおとなしい人柄と思っていたが、会ってみると元気のいい多弁な若い女性だったので驚く。ひとしきり談笑した後、左の部屋に彼女を残し、真ん中のロビーのような場所に戻ると、庭から「大変だあーっ!」と叫ぶ男の声が聞こえる。慌てて芝生の庭に出ると、別棟にある建物が火事か何かになったらしい。火も煙も見えないが、二階の窓から男が身を乗り出して、脱衣籠のようなものに入れた赤ちゃんたちを地上にいる人に手渡している。庭には少し年齢の高い子供たちがいて、それを受け取るが、やっぱりまだ子供なので、判断ができないらしい。赤ちゃんの籠をどすんと音を立てて、地上に放り投げるように置く。ぼくはびっくりして、籠を拾い、別の子供に「ちゃんと大人の人に手渡してね」と言う。火事騒ぎが終わり、ロビーに戻ったぼくはYさんに「いつ火事に気づいたの?」と尋ねる。彼女は小さな声で、早口に喋り立てるが、周りの騒音にまぎれて、ひとことも聞き取ることができない。
 帰り道、バス停の前の芝生の舗道に寝転がって、バスを待っている。ちょうどバスがやってきたが、起き上がる間もなく、バスはぼくを置いて発車してしまった。行き先表示を見ると、どうやらぼくの乗るべきバスだったようだ。しまった。ちゃんと次の発車時刻を確認しておくべきだったと思い、ぼくは歩いてバス停に掲示された時刻表を見に行く。

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