5月10日の夢(モトカノ)

 会社が模様替えになった。会社は宿泊制で、デスクではなく、一人に一つベッドが割り当てられる。ぼくは今までより奥というか、一番前の方の部屋に配置換えになった。部屋には四つのベッドが固めて置かれ、ここにはぼくを含めて男性四人が寝泊まりする。少し離れて前方右に一つだけベッドがあり、ここを使うのは有名ピアニストのT・Kさんだ。こんな有名ピアニストと同じ部屋になるなんて、すごく嬉しいと思う。
 会社の女性社員(現実にはクライアントの会社の女性社員)がやってきて、「今度、年金のシステムが変わったので、二回行われる講演会のどちらかに出席してください」と言う。日程が詰まっていて、行きたくないと思い、無視していると、またやってきて「どうしても行きなさい」と説得する。自分のスケジュールを書いた手帖を見る。日程はいっぱいだが、モトカノのコンサートに行く予定が一つ入っている。ちょうどそこが講演会の一つと重なっていた。今さら彼女のコンサートに行ってもしかたがないと思い、この時間に年金の講演会に出席することにする。
 その講演会に行く。会場は原宿のラフォーレのような場所だが、行ってみると中は古い和風の建物で、しかも迷路のようで、なかなか会場に行き着けない。やっと探し当てて、入場のために並ぶ。確か「参加する人は椅子を持参のこと」と書いてあった気がするので、ぼくは椅子を持って並んでいるが、他の人は誰も椅子なんか持っていない。会場を覗き込んでみると、畳に座布団敷きで、座椅子がいくつか並んでいる。椅子というのは座椅子のことかもしれない。カッコワルイので、入り口に椅子はそっと置いて、知らん顔をする。講師がやってきた。頭のはげたおっさんで、お笑い芸人のような感じ。年金の講演会ではなく、何かの習い事の教室のようだ。戸惑っていると、ぼくのすぐ後ろにモトカノがやってきて、女友達とおしゃべりしている。こんなところで彼女に会えるのはびっくりだなあと思うが、始まる前に彼女はどこかへ姿を消してしまった。
 ぼくは禿頭の講師をつかまえ、「年金の講演会があるというから来たのに、話が違うじゃないか」と文句を言う。講師は「私はそんな話は聞いていない。だけど、あなたがそう聞いたなら、もしかしたら自分の話が終わった後に担当者からそういう話があるのではないか」と答える。
 もう夜の8時を過ぎてしまった。こんなところですっかり時間の無駄をしてしまった。早く帰宅をしようと外に出る。そこは原宿のはずだが、森の公園で、まるで迷路のようだ。歩いても歩いても駅に出られない。
(夢ここまで)
 「モトカノ」と書いたのは四半世紀以上前の女友達です。何年も夢に出てこなかったので、もうすっかり忘れたと自分では思っていました。ピアニストのT・Kさんは、個人的にはつきあいがありませんが、音大生時代からの仕事上の知人で、ヨーロッパの超有名コンクール入賞の実力者。たまたま寝る前にどのCDを聞こうかとCDの山をひっくり返していたとき、彼女のCDをちらっと見たのが夢に出たようです。実際には別のピアニストのCDを聞きました。

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