10月10日の夢(試写室)

 映画の試写会の取材に行く。夏なのでTシャツ一枚で行ったが、「中は冷房が効いているので、コートを着ていった方がいいですよ」とMカメラマンが忠告してくれる。そういう彼も黒のオーバーコートを着ている。ぼくも道ばたに放り出してあった秋用のコートを羽織ることにした。
 試写が始まるまで、ぼくらは街角のケーキ屋さんの喫茶室にいたのだが、試写室はそこから道路を何本も隔てたところにあり、かなり遠い。歩き出したところで、ぼくはMカメラマンから受け取った、上がりのCD-Rを入れた封筒をケーキ屋さんに忘れてきたことに気づいた。慌てて二人で取りに戻るが、Mは途中で引き返して試写室に向かい、ぼくだけが戻ることにした。
 戻ってみると、既にドアは半分閉ざされ、閉店している様子なのに、内部は人でいっぱいだった。そこへのこのこ入ったぼくは侵入者と勘違いされ、女店員に「何ですか」と厳しく問いつめられてしまった。事情を話して店内を捜索するが見つからない。
 しかたなく、試写室に戻って試写を見るが、途中の休憩で抜け出して、街へ出る。ここはどこかの観光地で田舎町という感じがぴったりだ。お店に入って、この街のタウン情報誌を手にとって眺める。ちょうど街の情報記事のページがあったので、びりびり破り取って資料にする。仲間の記者から、そういう取材の方法があると教えてもらったのだ。
 さて、お店を出たものの、知らない街を歩いて、先ほどの試写室にちゃんと戻れるかどうか不安になる。おまけに大雪が降ったあと、それが溶けたところなのだろうか。舗装されていない砂利道は真ん中が深く陥没していて、とても歩きにくい。
 無事、試写室に戻ることができた。まだ休憩時間だが、ぼくの出ていた間にいい席は各社のカメラマンたちにすっかり占拠されてしまい、ぼくの座る場所がない。観客席は外・中・内と3つのエリアに分かれている。「中」は普通の試写室にある観客席。「外」はそこから壁一つ隔てた外側の部屋。「内」はスクリーンよりさらに内側である。そんなところに座っている人もあるが、はたしてスクリーンの内側で映画が見られるものだろうか。ぼくは「外」のエリアの一番外側の壁際に荷物を置き、そこに席をとる。「外」のエリアには詩人の吉増剛造さんもいて、ぼくとちらっと目が合った。

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