9月9日の夢(団地の中の仮設舞台)

 妻といっしょに講演会に出かける。会場まで果てしなく思われるほど長い、白いきれいな階段を早足で登っていく。登りきったところは、鉄パイプを組み合わせてつくられた大がかりな仮設の観覧席になっていて、既に大勢の観客でいっぱいだ。「まるでサーカス小屋のようだね」という客の声も聞こえる。そこは屋外で、周りに壁のように建ち並んでいるのは、団地群だ。どこかの団地の中庭にこの仮設舞台は作られているのだろう。団地のベランダには洗濯物がひるがえり、夜なので電灯がついている部屋も、真っ暗な部屋もある。風呂上がりだろうか。暗いベランダに素っ裸のまま、出てきた男性もいる。ぼくはこの情景を眺めるうち、これらの団地が罪人の収容施設であると直観する。そして、その中で仮設舞台を見守るぼくたちもまた、なんらかの罪のある者たちなのだと考える。
 渋谷の裏町を歩いている。手に最新式の携帯を持っているが、使い方が分からない。めくらめっぽうボタンを押してみると、歩いている街と全く同じ風景が画面に現れた。そして、画面にはその街の建物の名前がみんな表示されている。これは目指す建物を探すのに便利な機能だ。ぼくは携帯を前にかざしながら、画面に導かれて前進していく。

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