4月28日の夢(宇宙人の侵略)

 ぼくは父親と街の賑やかな交差点にいて、信号の変わるのを待っている。ビルの上の西の青空に飛行機雲が見える。それが妙にひんぱんに飛び交い、なんだか様子がおかしい。「あれはなんとか流星群のせいだ」と父が言う。父はなんでも知っているんだなあと感心して、さらに見ている。と、西の地平線からいろとりどりの色彩のパッチワークみたいな、色彩の氾濫が空に沸き上がった。空全体が極彩色の抽象絵画のようなものにおおわれてしまう。これは宇宙人が侵略してきたのだとわかる。
 家に帰ると、横長の不揃いの紙を乱雑に製本した分厚い冊子が届いている。一家に一冊、宇宙人が急いで配ったPR誌らしい。高度な宇宙人のはずなのに、こんなものしか作れないのかと思う。
 父の部屋に入る。とても立派な部屋で、大型テレビが左の出入り口付近と部屋の中央にある。そのほか第三の小型テレビもどこかにある。二つの大型テレビは宇宙人が入り込んだ火山の火口の様子を映している。ぼくは真ん中のテレビの前に、父用と思われる大型の一人がけソファを置いて、そこに座ってテレビを見つめる。正面に座ったつもりなのに、ソファは少し右にかたより、しかも上の方から見下ろす形になるので、画面を正面から見つめられないことに苛立ち、ソファの位置を調節する。なんとか正面から見られるようになったが、上から見下ろすのだけは修正することができない。
 そのうち、宇宙人の侵略は現実ではなく、「宇宙戦争」の映画を観ているのだと分かる。なぜか真ん中のテレビは左のテレビより数秒画面が先に進んでいる。この映画は、中国古代の「胡」という民族は実は宇宙人だったという仮説に立ち、胡による中国侵略を宇宙人侵略としてSFに仕立てた映画である。父は「胡は魚偏ではないか?」と、ぼくに尋ねる。ぼくはテレビ画面をルーペで見て、「いや、魚偏ではない」と答える。すると、父は右手奥にあった、今まで気づかなかった部屋のドアを開け、ぼくを一人残して別室に去って行く。

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