11月5日の夢(オンボロ音楽教室と合唱団)

 仕事中に会社をさぼり、近くにあるボロ家に駆け込む。この今にも壊れそうな建物は音楽教室で、ぼくはそこで尺八を習っているのだ。男の先生がぼくを喜んで迎え、助手の男にぼくのために楽器を用意するよう指示する。助手は尺八の指穴に、小包の包装用に詰めるプラスチックの薄片のようなものを一つずつ押し込んでいる。尺八用の楽譜も目の前に用意される。全然読めない。こんなもの、どうやって吹くんだ?
 そのうち老若男女沢山の人たちが教室に集まってきた。ぼくの勤めるグループ会社の一つの社長や、同僚の顔も見える。ぼくらは合唱団のメンバーだったのだ。音楽教室の三つの部屋の壁を取り払って、Lの字型の大きな練習室ができている。しかし、庭の向こうには別のボロアパートがあり、その窓には大勢の住人たちの姿が見える。こんなところで練習をして、迷惑にならないのだろうか?
 と、また場面が変わって、ぼくらは広い空き地に走っていき、コーラスのパートごとに整列する。ぼくもメンバーのはずなのだが、どうも勝手が分からない。「おーい、どっちがテノールだ?」と叫ぶ。多分、列の短い方がバスで、長い方がテノールだろうと推測し、自分もテノールの列に並ぶ。
 いよいよ練習が始まった。最初は年齢も背丈も不揃いの3人の子供たちによる、コミカルなコーラスだ。どうやらでんでん虫の歌らしい。大人たちは彼らのバックで、全員両手の人差し指を耳の上に当て、2本の角に見立てたフリをつけて踊る。ぼくもいかにも知っている顔をして、すまして踊る。そして、いよいよ大人の混声合唱が始まる。みんな想像以上に上手だ。
 練習が終わると、その空き地に先生と助手が出てきて、何かの雑貨の在庫を整理し始める。外国から輸入した雑貨を売って、この合唱団の運営費用をまかなっているらしい。利益を上げるためには、在庫をあまり持ちすぎないのがコツだと先生は言う。
 それからぼくは書類を持って、ガラス張りのビルにある役所に向かう。みんながその書類の提出はやめた方がいいと忠告してくれるが、ぼくは聞かない。書類はぼくから奪い去られた自分の息子の養育権を取り戻すための申請書類だ。ぼくがあの合唱団に所属しているのも、その土地にぼくの息子が別の両親と暮らしているからなのだ。

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