夢想雨

夢想雨
私の子宮に春雨
薄淡い白雲を覆う粘膜の空
沈黙の物干し竿にとまる湖水
溜め込んだ吐息
シトシトと
冬の憂鬱は流れてゆく
私のためらいは
物干し竿に留まったまま
デジャビュ
白糸のように燦々と降り続く水は
私の横隔膜の隙間から
私の部屋へ入り込み
小さな呼吸を繰り返す
雨は降る
雨が降る
私の子宮に雨が降る
この水面の器から
溢れる涙
さざ波の鼓動
弾ける産声
小さな握りこぶし
嬰児よ
ゆりかごのなかで
新緑に染まる
春を待て

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